「安静」ではなく「動ける範囲で活動を続ける」が今の考え方
ただし、だからといって布団に横になったまま安静にしているのが正解というわけでもありません。もちろんべったり臥床安静ではなく、「ゴロゴロ」痛みの強くならない範囲で生活をします、という点が重要です。
「安静」と「活動を続ける」、エビデンスではどちらが優れているか
急性の腰痛に対して「安静にするよう指導する」ことと「普段通りの活動をできる範囲で続けるよう指導する」ことを比較したランダム化比較試験を統合したコクラン・レビューでは、活動を続けるよう指導された患者の方が、安静を指導された患者より痛みの軽減と機能回復の面でわずかに良好な結果を示したことが報告されています(Dahm KT, et al. Cochrane Database Syst Rev. 2022;(3):CD007612)。長期間の安静臥床はかえって筋力低下や体の機能低下を招き、回復を遅らせる可能性があることが、この分野で1990年代後半から繰り返し指摘されてきました。つまり「痛みが強い時期に新しい運動を始めない」ことと「安静第一で動かない」ことは別の話であり、現在では、痛みの許す範囲でできるだけ普段の生活を続けることが勧められています。
急性の腰痛の裏に内臓疾患が隠れていることもある
この急性の腰痛症の中には、膵炎、尿管結石、腹部大動脈瘤、癌などの内臓疾患もありますので、きちんと医療機関を受診するようにしてください。一般的に内臓疾患は体位によって痛みが変化せず、安静にしていても痛みが強く出たりします。もちろん例外もあるのでややこしいのですが。
いずれにせよ、今まで感じたことの無い痛み、脂汗や冷や汗が出る、安静にしても痛みが続くような場合はただちに診察が必要です。無理に自力で動かず、場合によっては救急搬送を選択すべきです。