池田医院
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整形外科 外科 リハビリテーション

子供の夜中の足の痛みを「成長痛」と決めつけていいか

昔は子供がはっきりした原因が無く足(膝周り)を痛がると十把一絡げに「成長痛」と診断されていた時期がありました。現在では、かつて成長痛と診断された多くは本来の痛む原因があるとされています。

成長痛の典型的な特徴

成長痛がなぜ痛むのかはっきりとした成因は分かっていません。3〜12歳頃によくみられる夜間の膝や下腿の疼痛で、痛みにより時にひどく泣いたりしますが、翌朝はケロッと治って普通に動くのが特徴です。それゆえ朝になっても痛みが続くようですと他の病気やケガの可能性が高いと言えます。ただし朝になると痛みが無いから他の病気では無いとは言えません。

成長痛、実はまだ分かっていないことが多い

成長痛は1800年代から報告されている古い概念ですが、痛みが実際の骨の成長速度が最も速い時期と一致しないことが分かっており、なぜ「成長」という名前がついているのか自体、医学的な裏付けがあるわけではありません。診断は今も臨床像(両側性、夜間〜夕方の痛み、翌朝には正常に戻る、関節の腫れや跛行を伴わない)に基づく除外診断であり、確立した検査基準はありません(Lehman PJ, Carl RL. Sports Health. 2017;9(2):132-138)。近年は、下肢がむずむずして動かしたくなる「むずむず脚症候群(レストレスレッグス症候群)」との症状の重なりや、片頭痛との併存が指摘されるなど、単一の原因ではなく複数の要因が関わっている可能性が研究されています。

他の病気を除外することが診断の基本

診断は他の病気(骨折、捻挫、炎症、筋膜炎、腫瘍性病変)が無いことを確認します。股関節周りの疾患でも膝や下腿の痛みを訴えることがあるので注意が必要です。

心理的な要因との関係は、まだはっきりしていない

精神的なものでも起こることもあり、例えば、弟や妹が出来てかまって欲しくて痛みを訴えるといったこともあるようです。

「心理的な要因」をどこまで言い切れるか

成長痛の原因がはっきりしないことから、心理的な要因が関わっているのではないか、という仮説は以前から提唱されています。ただし、この仮説を裏づける説得力のある証拠は今のところ見つかっていないというのが、この分野のレビューにおける評価です。ある縦断研究では、成長痛のある子供は、そうでない子供に比べて親から「気分の波が大きい」「行動面の問題がある」と評価される傾向がやや高かったものの、学校の先生からは他の子供と同様の評価を受けていた、という一貫しない結果も報告されています(Goodyear-Smith F, Arroll B. BMJ. 2006;333(7566):456-457)。「下の子ができて構ってほしくて痛みを訴える」といった説明は、臨床の現場でよく語られる印象ではありますが、医学的に実証された機序ではなく、あくまで一つの臨床的な仮説として理解しておくのが適切です。

診断に当たっては他の疾患が無いかどうかしっかり診ることが重要です。ご家族も安易に成長痛だと決めつけずしっかりと診察を受けるようにしてください。

参考文献一覧を見る(全2件)
  1. Lehman PJ, Carl RL. Growing pains: When to be concerned. Sports Health. 2017;9(2):132-138.
  2. Goodyear-Smith F, Arroll B. Growing pains: parents and children need reassuring about this self limiting condition of unknown cause. BMJ. 2006;333(7566):456-457.