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整形外科 外科 リハビリテーション科 |
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手根不安定症 carpal instability (舟状月状骨解離、月状三角骨解離、SLAC wristとSNAC wrist) 手を捻ったり手をついたりしてすると手関節周辺に捻挫や骨折が起こります。手根不安定症とは手関節を構成する8個の手根骨を固定する靱帯が損傷し手関節の痛みや腫れが起こります。 隣接する舟状骨と月状骨の間が離れる舟状月状骨解離が多いです。月状三角骨解離も起こることがあります。 手関節捻挫や骨折後に痛みが続く場合はTFCC損傷や手根不安定症が起こっている可能性があります。 *舟状月状骨離開はレントゲン撮影を多方向に撮って診断します。(正面、側面、斜位2方向、橈側屈曲位正面、尺側屈曲位正面、手指を握った正面)静的には異常が無くとも動的に解離することもあります。治療は経皮的ピンニングと関節鏡を用いてデブリドマンを行います。そのほか靱帯修復術があります。 *月状三角骨解離は報告数も少なく、診断や治療をどのようにするかは明らかではありません。前腕回内位、手関節橈屈で手関節過伸展強制と掌側よりの直達外力が豆状骨に加わって発症します。単独損傷は20%程度で、TFCC損傷や月状骨周囲脱臼、舟状骨骨折、橈骨遠位端骨折、尺骨茎状突起骨折などの外傷や尺骨突き上げ症候群に合併することが多いとされています。建部らの報告によると尺側の痛みを訴える疾患でTFCC損傷、ECU腱炎などとの鑑別が必要となります。診断にはレントゲン、MRI、関節造影を行い、最終的には関節鏡による判断となります。治療は外傷による急性期は装具などの保存療法が行われ、治療に抵抗する場合は手術療法が考慮されます。手術は靱帯縫合や再建、関節固定が選択されます。 *SLAC wrist (scapho-lunate adbanced collapse wrist) 外傷や骨折、靭帯損傷を経て舟状骨、月状骨、橈骨の異常配列が起こり変形性手関節になっていく病態。 *舟状骨骨折後、骨癒合がせずに偽関節となったまま、5年以上放置されていると多くの例で変形異性手関節症となる場合を特にSNAC wrist と呼びます。(scaphoid nonunion advanced collapse wist) SNAC wristもSLAC wristも変形性手関節症なので手関節の痛みや腫脹、可動域制限が生じます。手関節を動かすと背側に強い痛みが出ます。治療は装具、注射、消炎鎮痛剤の服用などを行います。初期の場合は修復手術を行うこともありますが、大抵は進行しており、保存的治療に反応しない場合は関節症の変化が強い部分に関節固定術を考慮します。 |
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本日のコラム226 月状三角骨開離 lunotriquetral dissociation 手関節不安定症のひとつ。 月状三角骨解離は報告数も少なく、診断や治療をどのようにするかは明らかではありません。建部らの報告によると尺側の痛みを訴える疾患でTFCC損傷、ECU腱炎などとの鑑別が必要となります。診断にはレントゲン、MRI、関節造影を行い、最終的には関節鏡による判断となります。治療は外傷による急性期は装具などの保存療法が行われ、治療に抵抗する場合は手術療法が考慮されます。手術は靱帯縫合や再建、関節固定が選択されます。 *月状三角骨靱帯損傷(LT靱帯損傷) 前腕回内位、手関節橈屈で手関節過伸展強制と掌側よりの直達外力が豆状骨に加わって発症します。単独損傷は20%程度で、TFCC損傷や月状骨周囲脱臼、舟状骨骨折、橈骨遠位端骨折、尺骨茎状突起骨折などの外傷や尺骨突き上げ症候群に合併することが多いとされています。 *月状三角骨開離の診断と治療 月状三角靱帯開離は舟状月状骨開離に次いで高頻度に発生する手根靱帯損傷とされます。単独損傷の診断は困難を伴います。放置すると慢性の手関節痛となります。 外傷性の月状三角靱帯開離(LT靱帯開離)の原因は、単独損傷、TFCC損傷に合併する場合、月状骨周囲脱臼(骨折)に伴うものなどがあります。また、非外傷性のものとして、尺骨突き上げ症候群があります。 尺骨突き上げ症候群は初期にはTFCCの円盤部の摩耗や断裂が生じ、進行するとLT靱帯が断裂します。 *Melone分類(外力によるstage分類、stage順に損傷が拡大) stage1.TFCC損傷 stage2.尺側手根伸筋(ECU)腱鞘損傷 stage3.尺側手根靱帯 stage4.LT靱帯 stage5.三角有頭(有鈎)靱帯損傷 *TFCC損傷の分類 1.外傷による損傷 TA:中央部の穿孔 TB:尺骨付着部の剥離 TC:遠位側付着部の剥離 TD:橈骨付着部の剥離 2.変性による損傷 UA:TFC断裂 UB:TFC断裂に、月状骨や尺骨の軟骨軟化巣を伴うもの。 UC:TFC穿孔に、月状骨や尺骨の軟骨軟化巣を伴うもの。 UD:TFC穿孔に、月状骨や尺骨の軟骨軟化巣、月状三角骨靭帯穿孔を伴うもの。 UE:TFC穿孔に、月状骨や尺骨の軟骨軟化巣、月状三角骨靭帯穿孔、尺骨手根関節症を伴うもの。 尺骨突き上げ症候群でも、IIAからIIEまで尺側のTFCCを中心として軟部組織に損傷が進行し、TFCC diskの摩耗や断裂が起こり、それに伴って遠位橈尺関節(DRUJ)関節炎となり、中期以降にLT靱帯損傷が生じます。 *診断 理学所見 1.Ulnal snuff boxの圧痛:ECU腱 FCU腱の間、茎状突起遠位2cmに圧痛 2.LT ballottement test:月状骨と三角豆状骨を別々に把持し、掌・背側方向に不安定性と有痛性轢音 3.LT compression test:三角骨を尺側から押さえ、手関節を他動的に橈屈するとLT関節に圧迫力が加わる。疼痛と不安定性+ 画像所見 1手関節単純X線:正面像通常LT間距離は開大しない。三角骨が中枢に転位。(Gilula lineの破綻) 側面でVISI変形(月状骨が15°以上掌屈転位) 手関節橈尺屈動態撮影やグリップ時のストレス撮影で、アライメント異常。正面像で2mm以上のLT関節のStep off(Gilula lineの破綻)や側面像でVISI変形(月状骨が15°以上掌屈転位) 2.橈骨手根関節造影:LT間から造影剤の漏出、手根中央関節造影で同様に漏出あるいは膨隆。 *関節鏡 Geissler's classification GRADE 1 : 関節の不適合なし。靱帯実質に出血痕+ Attenuation or hemorrhage of interosseous ligament as seen from the radiocarpal space. No incongruency of carpal alignment in midcarpal space. GRADE 2 : 手根中央関節のみに不適合性(2mm以上のstep)があり、靱帯の不全断裂+。LT間に1mm径プローブ挿入可 Attenuation or hemorrhage of interosseous ligament as seen from the radiocarpal space. Incongruency or step-off seen in midcarpal space. There may be a slight gap (less than width of probe) between carpal bones. GRADE 3 :橈骨手根関節と手根中央関節の両方で不適合。不全断裂または掌側OR背側靱帯の完全断裂+ 手根中央関節で1mmプローブが挿入回転可 Incongruency or step-off of carpal alignment as seen from both radiocarpal and midcarpal space. Probe may be passed through gap between carpal bones. GRADE 4 : 2.7mmの関節鏡がLT間に挿入可能。背側骨間靱帯と背側手根靱帯の完全断裂。 Incongruency or step-off of carpal alignment as seen from both radiocarpal and midcarpal space. There is gross instability with manipulation A 2.7 mm arthroscope may be passed through gap between carpal bones. <LT損傷の手術適応> 手順:理学所見+各種画像→手根不安定性(疑)→保存療法無効(ギプス固定or装具)→関節鏡実施→病期や損傷程度により術式を決定。急性期は鏡視下デブリドマンを中心に開離2mm以上でピンニング。陳旧性は成書を参照してください。 |
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