腰椎変性すべり症 degenerative spondylolisthesis
椎間板の変性によって腰椎の椎体が上下でずれてしまう病気です。よく起こるのは第4腰椎と第5腰椎の間にある椎間板です。ここは脊椎が水平軸に対して傾いているため、椎間板が変性して支える力が落ちるとずり落ちていきます。
変性のはっきりとした原因は分かっていませんが閉経後の女性に多く見られますので女性ホルモンとの関連があると言われています。
すべると脊柱の中を通っている神経を圧迫して腰部脊柱管狭窄症と同じような症状を起こします。すなわち歩くと下肢が怠くなったりしびれたりします。また膀胱直腸障害が出たりします。
治療はまずは保存的に行います。痛み止め、しびれ止め、腰椎牽引などをやってみます。痛みが強い場合はコルセットを作成します。これらの保存的治療で改善しない場合は、手術を選択します。
麻痺や膀胱直腸障害がでる場合は手術を優先します。
・腰椎すべり症 Meyerding分類
下位椎体との前後方向のすべりを4等分して低い順にI,II、III、IVとする
評価法:20%以上の前後面でのすべり、10mm以上の側方すべり、10°以上の椎間板側方楔状化、前後屈で5mm以上のすべりの変化、椎間板腔の後方拡大10°といった所見は不安定性ありとして、手術の際に固定術の適応
エビデンス:椎間板・椎間関節変性、L4/5・女性に多い
腰椎変性すべり症は椎間板・椎間関節の変性の進行により生じ、高齢者・女性に多く(男女比約1:5)、L4/5に最も多くみられると総説で述べられています。(García-Ramos CL ら. Acta Ortop Mex. 2020)[1]。
エビデンス:除圧+固定 vs 除圧単独(SLIP)
変性すべり症を伴う腰部脊柱管狭窄では、椎弓切除に固定術を追加すると身体機能スコアの改善が大きい一方、椎弓切除単独では再手術が多かったと無作為化比較試験(SLIP)で報告されています。(Ghogawala Z ら. N Engl J Med. 2016)[2]。
エビデンス出典(全2件)を見る
- García-Ramos CL, Valenzuela-González J, Baeza-Álvarez VB, Rosales-Olivarez LM, Alpizar-Aguirre A, Reyes-Sánchez A. Degenerative spondylolisthesis I: general principles. Acta Ortop Mex. 2020;34(5):324-328. PMID: 33634638.
- Ghogawala Z, Dziura J, Butler WE, Dai F, Terrin N, Magge SN, et al. Laminectomy plus Fusion versus Laminectomy Alone for Lumbar Spondylolisthesis. N Engl J Med. 2016;374(15):1424-1434. PMID: 27074067.
参考:『腰部脊柱管狭窄症 診療ガイドライン 2021』 / 『脊椎脊髄ジャーナル 2022.7 PLIF・TLIF 手術手技の原点とエキスパートの工夫』 / 『Orthopaedics』2023年9月号 / 『エッセンシャル 脊椎・脊髄の画像診断』 / 『脊椎脊髄J2020.6 80歳以上の脊椎脊髄損傷』