皮膚疾患と整形外科的症状
皮膚の病気が、実は関節や骨の症状として現れることがあります。乾癬をお持ちの方の関節炎は、リウマチとは違って腱や靱帯の骨への付着部に炎症が起こるタイプで、発症から2年以内に骨が削れたり関節が変形したりすることがあるため、早めの対応を心がけています。手のひらや足の裏に膿疱ができる掌蹠膿疱症では、1割ほどの方に関節炎が合併し、胸の鎖骨のあたりに出やすいのが特徴です。これらとSAPHO症候群は境界がはっきりしない部分もあり、まとめて捉えることもあります。
好中球という白血球が皮膚に集まって起こる病気も、いくつか経験します。ベーチェット病では口の中の潰瘍や皮膚症状に加えて、半数以上の方で膝や足関節など下肢の関節炎を合併します。発熱とともに盛り上がった紅斑が出るSweet病、下腿にできた潰瘍がどんどん広がっていく壊疽性膿皮症、下腿の表側に痛みを伴う紅斑が出る結節性紅斑なども、この仲間です。
関節リウマチでは、リウマチ結節やリウマチ血管炎といった皮膚症状のほか、太鼓ばち状に指が変わる皮膚骨膜肥厚症を伴うことがあります。神経線維腫症では、皮膚の神経線維腫だけでなく側弯や後弯といった脊椎の変形を来すこともあります。
全身性エリテマトーデスでは、頬の蝶形の赤みや日光過敏など多彩な皮膚症状のほかに、骨は壊れないのに関節が変形するJaccoud関節症を来すことがあり、これがリウマチとの見分け方になります。全身性強皮症では、手指の皮膚が硬くなることから始まり、進むと関節の拘縮や指の変形につながっていきます。レイノー現象を伴う方が多いのも特徴です。
感染症では帯状疱疹のほか、伝染性紅斑(りんご病)も見逃せません。子供の病気という印象がありますが、大人がかかると手指や手、膝などに左右対称の関節炎を来すことが多く、関節リウマチと間違われることがあります。
| 皮膚疾患 | 関節・骨の症状 |
|---|---|
| 関節症性乾癬 | 付着部炎、2年以内に骨びらん・変形 |
| 掌蹠膿疱症性骨関節炎 | 1割に関節炎、胸肋鎖関節が最多 |
| ベーチェット病 | 半数以上で下肢の関節炎を合併 |
| 関節リウマチ | リウマチ結節・血管炎、皮膚骨膜肥厚症 |
| 全身性エリテマトーデス | Jaccoud関節症(骨破壊を伴わない変形) |
| 全身性強皮症 | 手指皮膚硬化から関節拘縮へ進行 |
| 伝染性紅斑(成人) | 手指・手・膝の対称性関節炎 |
参考文献:Orthopedics 整形外科外来における他科疾患を見逃さないコツ 3.2017
エビデンス:乾癬性関節炎の骨破壊の速さ
乾癬性関節炎は発症早期から骨破壊が進行し、罹病期間2年以内に約半数の患者で骨びらんが生じるとまとめられています。(Veale DJ. Arthritis Res Ther. 2013)[1]。
エビデンス:成人のパルボウイルスB19関節炎
成人のパルボウイルスB19感染は、手・手首・膝などの左右対称性の急性多関節炎を来し、関節リウマチと類似することがあるとまとめられています。(Colmegna I, Alberts-Grill N. Rheum Dis Clin North Am. 2009)[2]。
エビデンス出典(全2件)を見る
- Veale DJ. Psoriatic arthritis: recent progress in pathophysiology and drug development. Arthritis Res Ther. 2013;15(6):224. PMID: 24611179.
- Colmegna I, Alberts-Grill N. Parvovirus B19: its role in chronic arthritis. Rheum Dis Clin North Am. 2009;35(1):95-110. PMID: 19480999.
参考:『リウマチ病学テキスト 改訂第3版』 / 『リウマチ・膠原病診療 マスト&ベスト』