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整形外科 外科
リハビリテーション科


変形性関節症 osteoarthrosis

関節の軟骨がすり減って、関節の変形が起こった状態を変形性関節症といいます。関節の変形は、関節リウマチなどの疾患により起こる場合と年齢を経て徐々に変形が進むものがあります。通常、関節の変形をきたす疾患がないのに変形をした場合に、変形性関節症と呼んでいます。

関節の関節があれば、年月とともに変形性関節症が起こります。この変形は徐々に進行します。膝の変形は中高年以降、目立って多くなります。膝は体重が掛かるので痛みなどの症状が出やすいといえます。体重が掛からない指の第1関節の変形も度々起こります。

第1関節の変形性関節症のことをヘバーデン結節と呼びます。第1関節だけで無く第2関節に起こるのものをブシャール病と言います。いすれも変形性関節症なのですが、変形の初期は痛みが強く、変形が進むと痛みが減弱していきます。痛みがあるのは、そこに炎症が存在することなので、この時期は変形も進みやすいと考えられます。

痛みと変形の進み具合は相関性があり、膝関節の研究では、痛みがあると変形が進みやすいとされています。従って、痛みがある状態を継続すると変形が進みますので、きちんと医療機関で治療を受ける方が良いでしょう。

特に膝や股関節は、歩行障害の原因となり、高齢者では寝たきりの原因となります。これらの関節に痛みが出ると外に出る生活が困難となって来ます。そうなると体重を支える筋も萎縮し、筋力が落ちて、さらに動けなくなり、寝たきりにつながっていきます。

当院では、痛みのコントロールに加えて、筋力強化、可動域の改善をはかるためのリハビリを行っています。これらを継続している方は、寝たきりになることはかなり少ないです。継続して通院されている方が寝たきりになることはほとんど無く、途中で治療から脱落するといつの間にか寝たきりになっているケースが多いです。

痛みが良くなってきたから治ったと考えるのは無く、年齢とともに変形性関節症は少しずつ進行しますので、継続した治療、とりわけリハビリの継続が大切です。

位別:変形性関節症の症状と治療

部位

主な症状

治療法

膝関節(変形性膝関節症)

階段昇降や立ち上がり時の痛み、O脚変形、腫脹、可動域制限

ヒアルロン酸注射、運動療法(大腿四頭筋強化)、装具、人工膝関節置換術

股関節(変形性股関節症)

歩行時痛、鼠径部痛、可動域制限(特に内旋・屈曲)

減量、杖使用、運動療法(中殿筋強化)、人工股関節置換術

手指(DIP:ヘバーデン結節、PIP:ブシャール結節)

関節の腫れ・変形、こわばり、握力低下

装具、局所注射、保存療法中心(手術は稀)

足関節

歩行時痛、腫脹、可動域制限

インソール、装具、関節固定術または人工足関節置換術

頚椎・腰椎

頚部痛・腰痛、神経根症状(しびれ、筋力低下)

保存療法(牽引、薬物)、神経除圧術、固定術

肘関節

可動域制限、物を持つときの痛み

装具、薬物療法、関節鏡視下手術(稀)


疾患別:炎症性疼痛の推移傾向

疾患・病態

初期の痛み

進行後の痛み

関節リウマチ(RA)

こわばり、圧痛
(滑膜炎)

減弱することもある(線維化・関節破壊)

変形性関節症(OA)

軽度〜中等度

進行で機械的痛が増すことも

強直性脊椎炎(AS)

炎症性腰痛が強い

進行で可動域制限・痛み減少も

痛風・偽痛風

急性発作で激痛

慢性化で痛み減少も

骨壊死(例:大腿骨頭壊死)

初期は無症状〜軽度

進行で激痛 → 末期で感覚鈍麻も

腱炎・滑液包炎

炎症期に強い

慢性化で痛み減弱も

感染性関節炎

急性期に激痛

治療後に痛み減弱


■強直性脊椎炎(AS:Ankylosing Spondylitis)の初期症状として現れる痛みは、個人差があるものの、かなり不快で生活に支障をきたすレベルになることが多いです。

強直性脊椎炎における初期の痛み

特徴

内容

発症時期

通常は10代後半〜30代前半に発症

痛みの部位

主に仙腸関節(骨盤の後ろ)や腰部から始まる

夜間痛

夜間や早朝に痛みが強くなる傾向があり、睡眠を妨げることも

‍♂️ 動かすと改善

安静時に悪化し、運動で改善するという炎症性の特徴がある

持続性

鋭い痛みではなく、鈍く持続する痛みが数週間〜数ヶ月続くことがある

炎症性腰痛

非外傷性で、3ヶ月以上続く慢性腰痛として現れることが多い

痛みの強さについて
強い痛みとして認識されることが多いですが、ぎっくり腰のような急性の激痛とは異なり、じわじわと悪化する不快感やこわばりが中心です。特に朝のこわばり(morning stiffness)が強く、30分以上続く場合は炎症性疾患を疑う重要なサインで