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整形外科 外科
リハビリテーション科

Anterior knee pain syndorome (AKPS) 膝前部痛症候群

日本語で適切な訳語がなく「膝前部痛症候群」という意味です。スポーツをする若い女性に多く、膝前面の自発痛と圧痛以外の病的な所見は認めません。要するに他の膝の疾患はなく、膝の前面に痛みがあるという状態です。

慢性化して長期間痛みを有することが多いとされています。診断は除外診断で何もなければこの病気という話になります。

おそらく何らかの刺激で炎症が起こっていると思われますが、はっきりした所見に乏しいということでしょう。

治療は局所の安静と消炎鎮痛剤や温熱治療などをおこないます。

Anterior Knee Pain Syndrome(AKPS)
膝前部痛症候群

AKPSは、明確な構造的異常が認められないにもかかわらず、膝前面に慢性的な疼痛を訴える状態を指します。特にスポーツ活動を行う若年女性に多く、膝蓋骨周囲のうずくような痛みや不快感を主訴とします。Patellofemoral Pain Syndrome(PFPS)とほぼ同義とされることもあります。

原因と病態
AKPSは単一の疾患ではなく、以下のような複数の要因が関与する「症候群」として理解されます。

膝蓋骨の動的アライメント異常(lateral trackingなど)
股関節外転・外旋筋の筋力低下
Qアングルの増加や膝外反傾向
足部の回内(扁平足)や下肢の運動連鎖異常
膝蓋下脂肪体や滑膜ヒダの機械的刺激

これらの要因が複合的に作用し、膝蓋大腿関節に過剰なストレスが加わることで疼痛が生じると考えられています。

症状

膝蓋骨周囲の鈍痛、特に内側
階段昇降、しゃがみ込み、長時間座位での増悪(映画館徴候)
日によって痛みの程度が変動する明確な腫脹や熱感は伴わない

診断

除外診断が基本(滑膜ヒダ障害、膝蓋腱炎、Hoffa病、離断性骨軟骨炎などを除外)
Clarkeテストや膝蓋骨圧迫テストが陽性となることがある
MRIでは明確な異常がないことが多いが、軟骨変性や滑膜肥厚を伴うこともある

治療

急性期は疼痛と腫脹のコントロール(アイシング、消炎鎮痛薬)
股関節外転・外旋筋の強化(中殿筋、深層外旋六筋など)
内側広筋(特に斜走線維)の賦活化と外側広筋の過活動抑制
姿勢・動作指導(knee-in toe-outの是正)
テーピングや足底板によるアライメント補正
難治例では理学療法士による運動連鎖評価と個別対応が重要

補足
AKPSは「構造的異常がないから問題が軽い」というわけではなく、慢性化しやすく、競技復帰や日常生活に支障をきたすこともあるため、早期の介入と多角的な評価が重要です。