前足根管症候群(深腓骨神経麻痺) Anterior tarsal Tunnel Syndrome
前足根管症候群(深腓骨神経麻痺)は1-2趾間部にしびれがでる病気です。足関節の前面を通る深腓骨神経が伸筋支帯や短指伸筋で圧迫されて絞扼性神経障害を起こすことによって症状が出ます。
原因のほとんどが靴紐の絞めすぎです。甲高の人が合っていない靴を履いても起こります。ヨーロッパ系のおしゃれな靴は甲が低く足先も細長くなっています。これはそういう足をした人が多いためでアジア系の甲高扁平な足ではかなり窮屈でこのような障害を起こしやすいと考えます。
対策は靴紐を強く絞めない。また甲が強く締まる靴は履かないようにします。サンダルやスリッパでも同様の症状がでることがありますので注意が必要です。
その他、ガングリオンなどが神経を圧迫して起こることもあります。
後脛骨神経麻痺を起こす足根管症候群を後足根管症候群とし、前方の深腓骨神経麻痺(足背~I、2趾間部のしびれ、まれに短指伸筋麻痺)を起こすものを前足根管症候群と呼ぶことがあります。
エビデンス:病態・症状・診断(深腓骨神経の絞扼)
足関節前面を通る深腓骨神経が下伸筋支帯や短趾伸筋の部位で圧迫されると、足背から第1・第2趾間にかけてしびれが生じます。足部・足関節の絞扼性神経障害の総説では、この深腓骨神経障害(前足根管症候群)について、締めすぎた靴紐・骨棘・ハイヒールなどが原因となり、Tinel徴候と電気診断(神経伝導検査)で診断すると解説されています(Bojovic Mら. Int Orthop. 2025)[1]。両足に症状を呈した52歳ランナーの症例では、電気生理検査で両側の深腓骨神経障害を確認し、MRIで下伸筋支帯深層での神経周囲の瘢痕・圧迫が描出されました(Yan Yら. J Musculoskelet Neuronal Interact. 2024)[2]。
エビデンス:治療(保存療法と除圧手術)
治療はまず靴紐の締め方の調整など保存療法が優先され、改善しない例やガングリオン・骨棘による圧迫例では神経の除圧手術が検討されます。前足根管症候群13例の手術症例集(最短24か月追跡)では、骨棘や単独のガングリオン圧迫には内視鏡、滑膜炎や原因不明例には直視下手術を選択し、AOFAS後足部スコアが術前55から術後88へ改善したと報告されています(Yassin Mら. Foot (Edinb). 2015)[3]。査読済みの教科書項目でも、症状(足背〜第1趾間のしびれ、短趾伸筋のEMG異常)、Tinel徴候・神経伝導検査による診断、靴紐調整などの保存治療と支帯の除圧手術がまとめられています(Dreyer MAら. StatPearls. 2023)[4]。
エビデンス出典(全4件)を見る
- Bojovic M, Dimitrijevic S, Olory BCR, Eirale C, AlSeyrafi O, AlBaker AA, Krivokapic B, Jeremic D, D'Hooghe P. Overview of nerve entrapment syndromes in the foot and ankle. Int Orthop. 2025;49(4):853-862. PMID: 40042611.
- Yan Y, Wang D, Kalia V, Garvin G. MRI Findings of Bilateral Anterior Tarsal Tunnel Syndrome - A Case Report. J Musculoskelet Neuronal Interact. 2024;24(4):433-438. PMID: 39616513.
- Yassin M, Garti A, Weissbrot M, Heller E, Robinson D. Treatment of anterior tarsal tunnel syndrome through an endoscopic or open technique. Foot (Edinb). 2015;25(3):148-151. PMID: 26209470.
- Dreyer MA, Gibboney MD. Anterior Tarsal Tunnel Syndrome. StatPearls [Internet]. Treasure Island (FL): StatPearls Publishing; 2023. PMID: 30860723.
参考:『足の外傷・絞扼性神経障害、糖尿病足の診かた 日本足の外科学会』 / 『足の画像診断_小橋由紋子』 / 『靴でなる疾患、靴で治る疾患』