恥骨結合炎 恥骨骨炎 鼡径部痛症候群 pubic osteitis
そけい部から恥骨にかけて痛みが出る疾患を総称して鼡径部痛症候群と言います。そのなかで恥骨結合周辺に起こる痛みを恥骨結合炎、恥骨骨炎と呼びます。
恥骨骨炎と恥骨結合炎は同義語で恥骨結合周辺の炎症に起因する痛みを意味します。以前は感染によるものと思われてきましたが、スポーツ障害でよく起こり、またMRIの発達により恥骨結合付近の疲労骨折がよく起こっていることが分かりました。
治療は局所の安静をはかることが大切です。上肢~体幹の運動を中心に行い治るのを待ちます。痛みを我慢して運動を行うと更に症状は悪化しますので注意が必要です。
三者の違い:比較表
| 項目 | 恥骨結合炎 (恥骨骨炎) |
鼡径部痛症候群 (Groin Pain Syndrome) |
腸骨鼡径部痛症候群 (Ilioinguinal Neuralgia) |
|---|---|---|---|
| 病態 | 恥骨結合部の炎症(非感染性 or 感染性) | 鼠径部周囲の筋腱・関節・神経などの多因子性疼痛 | 腸骨鼡径神経の絞扼・損傷による神経痛 |
| 原因 | スポーツ(サッカー等)、手術、妊娠・出産 | スポーツによる過負荷、筋力・柔軟性低下 | 鼠径ヘルニア術後、骨盤手術、外傷 |
| 主な症状 | 恥骨部・下腹部の鈍痛、圧痛、運動時痛 | 鼠径部の運動時痛、股関節可動域制限 | 鼠径部〜陰嚢/大陰唇・大腿内側の放散痛、感覚障害 |
| 診断 | MRI(骨髄浮腫)、圧痛、画像所見 | 除外診断、徒手検査、MRI | Tinel徴候、神経ブロック反応 |
| 治療 | 安静、消炎鎮痛薬、ストレッチ、稀に手術 | 保存療法(理学療法、運動療法)、稀に手術 | 神経ブロック、NSAIDs、神経剥離術 |
・恥骨結合炎と鼡径部痛症候群はしばしば併存し、特にアスリートでは鑑別が難しいことがあります。
・腸骨鼡径部痛症候群は神経支配に一致した感覚障害があるため、神経学的評価が鍵になります。
・恥骨結合炎と恥骨骨炎は同義語として扱われることが多く、MRIでの骨髄浮腫や結合部の不整が診断の決め手です。