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池田医院・診療日記
信頼とまごころの医療 からだにやさしい医療をめざして

整形外科 外科 リハビリテーション科

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平成28年2月1日(月) 恥骨下行枝疲労骨折

 noakesの三徴があればかなり確度が高いと言われています。
1.恥骨結合付近に限局した強い圧痛
2.片足立位時の股間周囲痛
3.ランニング障害となるほどの鼡径部痛

 現在ではMRIによって疲労骨折の描出が可能ですので鼡径部痛がある場合は鑑別診断も兼ねてMRIを行います。

 原因は股関節内転筋の負荷が恥骨下枝にかかり疲労骨折を起こすとされています。女子長距離選手に多い。

 治療は患部の安静が重要です。患部以外のトレーニングはしっかり行います。通常、1-2ヶ月間、ランニングを休止し痛みが改善すればジョギングより開始します。再発しないように徐々に運動負荷を上げていきます。

 
 
平成28年2月2日(火)
 lateral meniscocapsular separation

 日本語で適切な訳が無く、そのまま「lateral meniscocapsular separation」と呼ばれています。病態は「半月板と関節包の接合部位が外傷により分離する」ことです。

 これにより半月板損傷と同様の症状(膝の痛み)がでますがクリック感やロッキングは起こりません。通常、臨床症状→診察→レントゲン→MRIの順で進めていきますが、この病気はMRIで描出されることが少ないとされています。

 従って膝が痛く半月板損傷様の症状があるにも関わらずMRIで引っかかりませんので診断が遅れることが度々あります。2-3ヶ月保存的な治療を行っても症状が改善しない場合は、鏡視下で分離がないか調べるようにします。分離があればラスピングの後、半月板と関節包を縫着します。
 
 
平成28年2月3日(水) 大腿骨離断性骨軟骨炎 osteochondritis dissecans of the femoral bone 

 膝関節の大腿骨側で軟骨下骨に分離が生じ骨軟骨片が関節内に遊離・脱落します。10代の骨端閉鎖前の男性に多い。原因は諸説ありますが、剪断ストレスが契機となっているとされています。

 離断性骨軟骨炎は膝関節、肘関節、股関節、足関節などに起こりますが、膝関節が一番多く発症します。膝では内側85%、外側15%、まれに膝蓋骨に起こります。

 症状は患側の痛みです。歩行時、運動時に痛みが増強します。初期にはレントゲン撮影(顆間窩撮影を追加)では描出されないのでMRIを行います。

 外顆の離断性骨軟骨炎は外側円板状半月板を合併することが多い。
 
BrucklのX線分類
stage1 異常所見なし(骨軟骨片は安定)
stage2 病巣部の骨透亮像(骨軟骨片は安定)
stage3 病巣周辺の骨硬化像(骨軟骨片は不安定)
stage4 病巣の硬化と不安定性の進行期(骨軟骨片は不安定)
stage5 遊離体(骨軟骨片は遊離)

治療方針
stage1-3
 骨端線閉鎖前:免荷による保存治療 抵抗、進行例はドリリングなど手術を考慮 早期復帰希望の場合はドリリングを行うことあり

 骨端線閉鎖後:保存治療や鏡視下ドリリングは奏功しないことが多い。骨軟骨固定術が必要なことも。

stage4:骨軟骨固定術
stage5:遊離片が欠損部と適合すれば整復固定します。整復固定できずに欠損が大きく(長径1.0〜1.5cm以上)加重部の場合は骨軟骨移植を行います。
 
 
平成28年2月4日(木) Hoffa病(膝脂肪体症) Hoffa disease

 膝蓋腱より深層にクッションのような形で脂肪の塊があります。これを膝蓋下脂肪体と言います。運動などの機械的な刺激で微少な内出血がおこり、それが刺激されて結合組織が増殖し腫大します。その結果、膝の運動時にインピンジメントを起こすとされています。

 神経組織に富み、炎症により痛みや圧痛があります。

 治療は保存的治療を行います。局所の安静、温熱治療などを試みます。改善しない場合はステロイドの注入を行います。鏡視下に手術を行うこともまれにあります。

 鑑別診断としてはJumper膝、Anterior knee pain syndrome (AKPS)があります。 
 
平成28年2月5日(金) Anterior knee pain syndorome (AKPS)


 日本語で適切な訳語がなく「膝前部痛症候群」という意味です。スポーツをする若い女性に多く、膝前面の自発痛と圧痛以外の病的な所見は認めません。要するに他の膝の疾患はなく、膝の前面に痛みがあるという状態です。

 慢性化して長期間痛みを有することが多いとされています。診断は除外診断で何もなければこの病気という話になります。

 おそらく何らかの刺激で炎症が起こっていると思われますが、はっきりした所見に乏しいということでしょう。

 治療は局所の安静と消炎鎮痛剤や温熱治療などをおこないます。
 
 
平成28年2月6日(土) ACL付着部裂離骨折(顆間隆起骨折)

 この骨折は前十字靭帯に引っ張られて脛骨付着部で裂離骨折を起こします。顆間隆起骨折となります。

 10歳前後の小児に多く発症します。可及的早期に骨片の正確な整復と術後早期のリハビリを行うために強固な固定が必要です。

 脛骨の裂離骨折状況で分類されています。

 meyers-mckeever分類

 Type1 骨片は前方だけ裂離している
 Type2 骨片は後方の一部のみつながっている 
 Type3A 全体に浮いている
 Type3B 剥がれてめくれ上がっている
 Type4 骨片が粉砕している

 最新の治療方針(2015年)としては、保存的治療はType1のみ、Type2以上を手術適応とする報告が多い。

 注:以前はType2まで保存適応であったがType2のなかに整復不良例が見られるのでType2以上となった。

 手術は鏡視下にてスクリュー固定法もしくはpull-out法。
 
平成28年2月7日(日)
 
平成28年2月8日(月)
 後十字靭帯付着部裂離骨折

 バイク、自転車等で転倒して膝の前の部分を強くぶつけると後十字靭帯が切れたり、付着部である脛骨の近位部後端が裂離骨折します。

 中高のの方によく見られます。治療は骨片が大きくずれていない、また安定している場合は保存的に行います。保存治療はギプス固定3週間、その後装具に切り替えます。

 骨片のずれが大きい場合は手術を考慮します。
 
 
平成28年2月9日(火)
 Hoffa骨折(大腿骨顆部冠状骨折)

 交通事故など高エネルギー外傷で大腿骨顆部が冠状面に沿って骨折を起こします。まれな骨折ですが、関節内骨折のため保存的な治療では偽関節を起こしやすいと言われています。

 通常、骨接合術を行います。保存的には行う場合は膝伸展位で長期間の固定が必要となり機能障害を残しやすいです。
 
 
平成28年2月10日(水)
 転倒後の背中〜お尻の痛み

 転倒によってさまざまな障害が起こります。よくあるのが尻もちをついて脊柱の圧迫骨折が発症します。これは尻もちによって脊柱が上下並びに前屈を強制されて椎体が耐えられなくなり骨折します。

 背中や腰に痛みが生じます。レントゲンではすぐに分からないこともあり受傷状況などを聞き症状と合わせてMRIを行います。新しい骨折が見つかればフレームコルセットを作成して約3ヶ月ほど装着します。

 転倒により骨盤自体が骨折することがあります。これは交通外傷などの高エネルギー損傷の場合、骨盤内の動脈損傷が合併して生命に関わることもありますので注意が必要です。また骨盤自体からの出血も大量となり止血手術や塞栓術が必要となることがあります。

 家の中で尻もちをついた程度ですと骨盤骨折は起こってもさほど重篤には通常なりません。レントゲンに加えてCT,MRIにて検索します。多くは保存的治療で改善します。

 転倒後、太ももの内側に痛みが生じる場合は、恥骨周辺に骨折が起こっていることがありますので放っておかずに最寄りの整形外科を受診するようにしましょう。
 
平成28年2月11日(木) 建国記念日
 
平成28年2月12日(金)
 円板状半月板 discoid meniscus

 半月板は膝の中でクッションの役目を果たしています。通常は「C」の様の形をしており中央部はありません。ところが生まれつき中央部にも半月板があり分厚くなっていることがあります。

 多くは内側よりも外側半月板に見られます。スポーツなどで負荷が大きくなってくる時期に痛みを生じてくることがあります。中高生の部活であるとき痛みが出てきてなかなか治らないので受診したというケースが多いです。

 レントゲン撮影でも関節の合間が広くなって写ることである程度判断できますが、実際にはMRIを行って診断します。

 治療は保存的に経過を見て痛みが改善しない場合は鏡視下に手術を行います。MRIで偶然見つかったような場合に予防的に手術を行うようなことはありません。


 円板状半月板に合併する離断性骨軟骨炎は保存的には治癒は困難で円板状半月板と合わせて手術療法を行います。
 
 
平成28年2月13日(土)
 タナ障害(膝蓋内側滑膜ひだ障害)

 胎児期に膝を分割する滑膜隔壁が吸収しきれずに遺残したものです。成長期のオーバーユースなどで膝蓋骨内側にヒダ状になって引っかかり、痛みなどの障害を起こします。

 治療の基本は保存的治療で痛みの原因となっているスポーツの休止や消炎鎮痛剤、アイシングなどを行います。以前は手術療法が勧められていましたが、現在では安易に手術を行うべきではないとされています。

 ほとんどの例で手術は行わず、保存的に十分なストレッチや筋トレを行います。
 
平成28年2月14日(日)
 
平成28年2月15日(月) juvenile Tillaux骨折

 脛骨遠位端前外側のSalter-HarrisIII型骨折です。脛骨遠位の骨端線が閉じ始めてから完全に閉じるまでに約18ヶ月かかりますが、その間に足関節を捻ると接合した骨端線部と前脛腓靱帯に閉鎖していない骨端線部遠位が引っ張られて骨折します。

 従って骨端線が閉鎖し始めてから閉鎖するまでの期間しかこの骨折は起こらないことになります。2mm以上の転位がある場合は手術適応とされています。レントゲンでは転位が十分描出されないことがありますのでCTでの評価となります。
 
 
平成28年2月16日(火) 距骨滑車骨軟骨損傷 osteochondral lesions of the talus

 足関節を捻挫すると脛骨と距骨が関節面で衝突することがあります。その場合、捻る方向によって距骨の天井部分の内側後方(内反底屈)、外側前方(外反背屈)のいずれかが損傷します。軽度のものを含めて捻挫の35%ほどに何らかの軟骨損傷が起こっているという文献もあり、比較的よく起こっていると考えられます。また非外傷性のものもあり循環障害などに起因すると考えられています。

 レントゲン撮影では角度の問題で写らないこともありますので、伸展位、屈曲位を追加します。早期診断にはMRIが有効です。
 
 レントゲン分類として Berndt and Harty分類が用いられます。

 Berndt&Harty分類
 stage1 距骨表層の変化
 stage2 部分剥離
 stage3 転位の無い完全剥離
 stage4 剥離片が180度シフト
 
 注:嚢胞はこの分類には入っていない
<治療方針>
 骨端線閉鎖前のstage1,2は免荷治療、改善しない場合は鏡視下ドリリング等
 骨端線閉鎖後のstage1,2は保存治療やドリリングは効果が無いことが多く、骨軟骨固定術
 stage3以上は骨軟骨固定術。自家骨軟骨移植 術後6週間免荷、12週で全荷重、6ヶ月後競技復帰
 
 
平成28年2月17日(水)
 腓骨外果前距腓靱帯(ATFL)付着部裂離骨折

 足関節を内がえしに捻挫すると腓骨と距骨をつないでいる前距腓靱帯が強く引っ張られて損傷します。このとき腓骨側の腱付着部で腓骨が裂離骨折することがあります。

 レントゲンは通常の4方向に加えて半軸位撮影(腓骨遠位端の前縁に対し接線方向となる)を追加します。また靱帯損傷の程度を見るために超音波断層撮影を行いますが、裂離骨折の描出に優れています。

 治療は膝下ギプス固定を4週間程度行います。なお腫れが強い場合は最初の1週間ほどはギブスシーネにして内圧が逃げるようにします。
 
 
平成28年2月18日(木) スポーツの名前が付いた疾患

 さまざまなスポーツ特有の疾患にはスポーツ名がつけられています。

 Bowler's thumb  母指の尺側指神経のfibrosis
 boxer's fracture 第2第3中手骨頚部骨折
 golfer's fracture 肋骨骨折
 bolfer's wrist   有鈎骨鈎骨折
 skier's thumb  母指MP関節尺側側副靱帯損傷
 runner's knee 膝蓋大腿関節痛症候群
 jumper's knee 膝蓋腱炎
 golfer's elbow (rock climber's elbow) 内側上顆炎
 little leaguer's elbow 野球肘
 
 
平成28年2月19日(金) 平均寿命と健康寿命

 健康寿命とは健康で日常生活を送れる期間のことで、平均寿命より男性で約9年、女性で約13年の差があります。すなわちその期間は平均して何らかの介護等が必要になる期間と言えます。

 ここ最近、「フレイル」と言う概念が重要となっています。フレイルとは「加齢に伴うさまざまな臓器機能の変化や予備能力の低下により外的ストレスに対する脆弱性が亢進した状態であり、さまざまな不良な転帰につながる病態」とされています。簡単にいうと「虚弱」な状態であり、身体の能力が弱った状態です。このフレイルは個人差があり、また介入(運動や食事など)により改善を図ることが出来ます。しっかり食べてしっかり運動すれば予防につながります。

 食事はバランスのとれたものをしっかり食べましょう。野菜ばかりでは栄養が足らなくなります。運動は簡単なすとれっち、散歩などがお勧めです。肥満の方は食事療法と運動療法をうまく組み合わせて行うようにします。
 
 
平成28年2月20日(土) 扁平足

 扁平足には赤ちゃんの時のように脂肪がたくさん付いてふっくらしている場合やアスリートで足底の筋肉が発達している場合など扁平足に見えますが扁平足では無いものがあります。この場合は特に治療は必要ありません。

 一方、残りのものは扁平足として柔らかい扁平足(小児外反扁平足など)と固い扁平足(先天性垂直距骨、足根骨癒合症など)に分けられます。柔らかい扁平足は体重が掛からない時は縦アーチがしっかりとあり扁平ではなく土踏まずも認めますが立って体重をかけると変形して扁平になるものです。固い扁平足は体重の有無に関わらず扁平です。多くは柔らかい扁平足です。

 固い扁平足はもともと生まれつき骨の異常があったり何らかの炎症性変化として関節が変形拘縮してしまった場合に起こります。

 生まれつきの扁平足は多くの場合1歳ぐらいまでに自然に変形が改善します。一部は残存し3-4歳の筋肉が発達するころにはほとんどが改善すると言われています。

 柔らかい扁平足はアーチサポートで足のアーチをしっかりと支えるようにします。固い扁平足はアーチサポートではアーチを形成することが出来ませんので、成因によっては手術を考慮します。(クッション性を高めるという意味で中敷きは有効です。)

 放置してはいけない扁平足に外反扁平足があります。外反扁平足とは立位で後方から見るとアキレス腱の縦軸が足関節で外反変形しています。この結果、足底は外反して扁平となり横アーチが潰れて開張足となり外反母趾となっていくことがあります。

 子供の外反扁平足には、かかとがしっかりとしたハイカットのシューズと土踏まずを支えるアーチサポートを併用します。

 高齢者の外反扁平足には縦アーチを引っ張って形成させている後脛骨筋の不全、腱断裂などで起こります。後脛骨筋の強化、足底板(内側ウェッジのアーチサポート)などを組み合わせます。
 
平成28年2月21日(日)
 
平成28年2月22日(月)後脛骨筋腱機能不全症とオーバープロネーション

<オーバープロネーション>
 オーバープロネーションはランニング障害の一つです。ランニング時に足関節が過剰に内側に回る(回内)ことにより、足関節が着地すると過剰に内側へ倒れ込むようになり、それが原因となって扁平足、鵞足炎、開帳足、シンスプリント、外反母趾、足底筋膜炎などを引き起こします。(多少内側に倒れ込むのは正常です。あくまでも過剰に倒れ込むことが問題となります。)

ランニング中にオーバープロネーションを防ぐために内側を補強した専用シューズがあります。また後脛骨筋、中殿筋を中心とした強化トレーニングが有効です。

<後脛骨筋腱機能不全症>
 オーバープロネーションの原因のひとつに後脛骨筋腱機能不全症があります。これは足関節を内反、底屈する筋肉ですが、この機能が低下すると足関節を正しく保持できずに着地時に内反してしまいます。後脛骨筋腱機能不全症には踵が内側ウェッジになったアーチサポートを装着します。 また後脛骨筋自体を強化する運動を行います。更に悪化する場合は手術を考慮します。

 後脛骨筋腱機能不全症(PTTD) Myerson 分類  
stage 症状   レントゲン所見  治療
 stage1  後脛骨筋腱の圧痛、腫脹  正常  Nsaids、腱鞘切開
 stage2 a 踵骨外転
 後脛骨筋腱の圧痛
 可逆的扁平足
b 踵骨外転
 前足部外転
c b+内側支柱の不安定性
 足根洞痛
a 踵骨外転
 距骨の沈下
b a+
 距舟関節不適合
 前足部外転
c bと同様
a 装具、踵骨骨切内方移動、FDL(長母趾屈筋腱)移行
b 踵骨骨切、FDL移行、外側支柱延長
c 踵骨骨切、FDL移行、内側支柱固定
 stage3  不可逆性外反扁平足
 足根洞部痛
 2b+距骨下関節腔の狭小化 3関節固定±外側支柱延長 
 stage4  足関節外反変形   2b+足関節外反 脛骨・距骨・踵骨間固定
距骨全周囲固定 
(出典 123 CLINICIAN '10 NO.592)
 
 
平成28年2月23日(火) 上腕二頭筋長頭腱脱臼

 上腕二頭筋の長頭腱は上腕骨の前面にある大結節と小結節の間の溝(結節間溝)を通って関節包に沿って上向し肩甲骨の関節窩上方に付着しています。この関節窩を通過するところで外傷や年齢による変性などで腱が脱臼することがあります。

 脱臼が起こるとスムーズに腱が動きませんから周辺組織に負荷がかかり炎症を起こすことによって痛みや腫れがでます。治療は手術療法が選択されます。高齢者やあまり手を使わない人は保存的な治療を選択することもありますが、保存的な治療では痛みや腫れを改善させるのが目標であり、脱臼を改善させることは困難です。
 
平成28年2月24日(水) 開張足 spread foot

 中高年になると足裏がべたっと横に広がってしまうことがあります。これは足の土踏まずを形成するための横アーチが崩れて起こります。横アーチが崩れる原因は先天性に柔らかい場合、運動不足による筋力の低下、肥満、過度の運動負荷、長時間の立位などが関係しています。またハイヒールや幅の広すぎる靴も影響することがあります。

 症状は足の裏の痛みです。特に2〜3趾の付け根あたりに痛みが生じます。また同部にたこができて痛いこともあります。これは年齢と共に横アーチが崩れ、本来、母趾に体重をかけて蹴り出すという動作が旨くできず2-4趾に力が掛かってしまうからです。開張足が進行すると外反母趾となっていきます。

 靴は底が薄いものやハイヒールは前部に荷重がかかりやすいので症状が悪化します。また大きめの靴や横幅が広い場合も悪化要因となります。靴はソールがしっかりして厚みがある程度あるもので長さも広さも程よく、なおかつ踵がしっかり包まれて固定されるものを選択し毎回靴紐をしっかりと結ぶように心がけるとよいでしょう。

 一度広がってしまった足を治すことは出来ませんが、足趾の運動や足関節周辺の筋トレにて悪化しにくくすることは可能です。足にあったシューズや足底板を装着し、横アーチを保つようにすれば足裏の症状も緩和します。
 
 
平成28年2月25日(木)趾節関節外反(母趾)

 外反母趾は母趾の一番根元の関節(基節・中足骨関節、MTP関節)が外反する病気ですが、それより一つ遠位、趾側の関節が外反することがあります。これは正式な病名ではありませんが趾節関節外反母趾とでもいう状態です。

 この病態は分かっていませんが、小さい頃から小さい靴を履いていることと関連していると言われています。私の経験では外に向いているだけで痛みなどの症状はなく、形が気になって来院されることが多いようです。これを戻すのは困難で、曲がる前に合った靴を履いて予防するしかないかと思います。
 
 
平成28年2月26日(金)
 下腿慢性コンパートメント症候群

 アスリート貧血でも同様の症状が出ますので貧血のチェックが必要です。その他、脛・腓骨疲労骨折、シンスプリントでも同様の症状を呈することがあります。

 下腿は骨や筋膜を境として4つの区画(コンパートメント)に分けられています。前方、側方、浅後方、深後方があります。急性型は外傷による骨折や圧挫創で起こります。慢性型はランニングなどの運動負荷により筋肉が増量、また運動時のバンプアップにより内圧が高まって痛みや神経を圧迫してしびれ、麻痺などを起こします。慢性の場合は、運動負荷で症状が出て、しばらく休むと症状が改善するのが特徴です。

 慢性型は前脛骨筋、腓腹筋、腓骨筋などのストレッチを入念に行います。症状が改善しない場合は筋膜切開を行います。

 ・各コンパートメント障害による症状
  1.前方 下腿前外側に痛み腫れ、疼痛、圧痛。深腓骨神経の知覚障害(1,2趾間)、足関節の背屈障害(前脛骨筋、趾伸筋)
  2.側方 外側に痛み圧痛。浅腓骨神経(下腿外側)の知覚障害、長短腓骨筋の筋力低下で足関節の外がえしが低下。
  3.浅後方 ふくらはぎに痛み圧痛、腓腹神経障害による知覚障害、腓腹筋、ひらめ筋、腓腹筋の筋力低下により足関節の底屈が減弱
  4.深側方 下腿内側に圧痛。足底内側の脛骨神経領域での知覚障害。後脛骨筋、足趾伸筋の筋力低下
 
 
平成28年2月27日(土)
 下肢の疲労骨折

 脛骨疾走型疲労骨折 ランニングをする種目であればいずれでも起こります。中高生で6割を占めますが、小学生での報告例もあります。初期には、レントゲンの正面・側面像では描出されにくいので斜位像を追加します。欄イング・ジャンプの中止で復帰までに約2ヶ月、長くとも3ヶ月以内。

 脛骨跳躍型疲労骨折 難治性の疲労骨折です。バレーボールやバスケットなどジャンプを繰り返す種目でみられます。脛骨前面中央に圧痛が出ます。ランニングやジャンプなど3-6ヶ月ほど中止し経過をみますが、なかなか治りにくく、経過が長く、早期復帰を望む場合は髄内釘固定や骨移植術を行いますが、再発例、難治例が多いとされています。

 腓骨疲労骨折 跳躍型は近位、疾走型は遠位と言われていますが、ランニングでも近位には発生します。1-2ヶ月のランニングやジャンプの中止。

 中足骨疲労骨折 骨幹部に起こるものは1-2ヶ月、運動の休止で改善。第5趾中足骨近位のJones骨折は難治性で手術を要することが多い。また第2、第4中足骨基部に起こる疲労骨折も難治性で手術を要することもあります。
 
平成28年2月28日(日)
 
平成28年2月29日(月)
 下肢の疲労骨折2

 大腿骨疲労骨折 長距離選手に多い。頚部、顆上部、骨幹部。痛みの部位が特定しにくい。2-4ヶ月で復帰。完全骨折や転位例は手術。

 膝蓋骨疲労骨折 膝を深く曲げてジャンプする競技で起こりやすい。バレー、バスケット、ハンドボールなど。初期はレントゲンで分かりにくく、MRIやCTが有効。転位例、遷延治癒例は螺子固定などを行う。

 足関節内果疲労骨折 踏み込みやジャンプの動作で内反、外反するサッカー、バスケット、フィギュアスケートなどでみられます。レントゲンでは分かりにくく、MRI、CTで早期診断します。症状に応じてギプス、免荷、負荷のかかる運動の休止します。関節面の骨折線は消失しにくく運動再開後、再発することもあります。転位例、遷延治癒、再発は螺子固定を行います。

 足舟状骨骨折 陸上やバスケとボールなどの運動で足背部痛が慢性的に続く場合は疑うようにします。レントゲンでは写りにくくCT,MRIを行います。転位の無い新鮮例は4-8週間の免荷。完全骨折や遷延治癒、転位例は骨せん孔、螺子固定。偽関節は掻爬、骨移植 、螺子固定。難治性。