(日)
(月) 肩関節腱板断裂
腱板は上方を棘上筋腱、上後方を棘下筋腱、後方下方で小円筋腱、前方から肩甲下筋腱により構成されています。棘上筋腱と棘下筋腱は多少重なって上腕骨大結節に停止しています。これらを総称して肩腱板と呼びます。腱板断裂は構成する腱が断裂することを意味します。いずれかもしくは複数の腱が部分断裂~完全断裂をします。外傷による急性の断裂と加齢により変性により徐々に断裂する場合があります。
保存治療と手術治療があります。以前は、50歳ぐらいまででスポーツを行う人が手術対象でしたが、最近では高齢者でも手術を行うようになりました。現在の手術適応としては、仕事やレクレーションで活動性が高いケースとなります。若者に限らず、高齢者でも日常生活や仕事、運動に支障を来す場合は手術を行うようになっています。
アクティビティレベルの高い若者は、微少な外傷を繰り返して小断裂が大断裂に徐々にまたは一気に移行することもあり、保存治療は難しいと言えます。保存治療は、比較的年齢が高く、活動性があまり高くないケースで選択します。
早期手術は、明らかな外傷による中・大断裂で行うようにします。とりわけ年齢も若い3腱断裂は手術がベストであるとされています。
肩甲下筋腱断裂も手術対象となっています。
腱板断裂の原因と状態
・外傷性
・インピンジメント:棘上筋断裂で肩峰とインピンジメント
・求心性が保てない:肩甲下筋断裂
・癒着:断裂端が周囲組織と癒着
・肉体労働等で外旋筋力の低下
・広範囲断裂
腱板断裂のうち1/3が症状があり、残りの2/3は無症状とされています。腱板断裂があるから症状が出るわけでは無いと言えます。また腱板断裂の様式、サイズと症状には関連性が無く、腱板断裂自体は症状に関与していないとされます。
腱板断裂に対し、3ヶ月の理学療法が有効とされます。治療開始後6-12週で症状が改善することが多い。拘縮や、疼痛で内旋制限のある場合は治療が長期化します。理学療法で肩腱板の断裂自体は修復されません。
肩関節の拘縮には、以下の原因があります。
1.関節内因子「腱板断裂、関節包肥厚・癒着、烏口上腕靱帯の肥厚」
関節内病変によるもの
・烏口上腕靱帯(CHL)や上内側関節包の肥厚:内旋、水平内転の制限
・腱板疎部や中関節上腕靱帯(MGHL)の肥厚:外旋制限
・下方関節包や下関節上腕靱帯(IGHL)の肥厚:挙上制限
2.関節外因子「肩甲骨、鎖骨、肋骨、筋肉」
各障害部位のモビライゼーションを行い、可動時に痛みが生じ、その後、可動域が改善すれば関節外因子プラスとみなす
・胸鎖関節:水平内転
・上部胸肋関節:内旋
・下部胸肋関節:挙上
・第1~第3肋骨:挙上
・大胸筋:挙上、外旋
(火)
サッカーワールドカップ
日本代表はベスト16でベルギーに酷敗しました。後半2-0で勝っていましたが、最後は自力に勝るベルギーにひっくり返されました。それにしても惜しかった。死力を尽くして戦った選手たちに尊敬の念と今後の活躍を期待します。本当にお疲れ様でした。そして応援した皆さまもお疲れ様でした。あの試合を見た子供たちがいつの日か日の丸を背負って優勝することを夢見て。
(水) 本日のコラム383 長引く腰痛は何か原因があります
腰痛は一過性であればあまり心配することは無いかも知れませんが、何度も繰り返したり、二週間以上続く場合は原因を探るようにした方が良いでしょう。せっかく、整形外科を受診してもレントゲン撮影だけを行って、「骨は大丈夫、痛み止めを飲んでください。」と言われたものの腰痛が治らないので、当院を受診されるケースがよくあります。
神経や椎間板はレントゲンでは写りません。こういったときに威力を発揮するのがMRIです。もちろんなんでも検査すれば良いわけでは無く、病状に応じて行います。
痛みが強い場合や継続する場合は、調べておいた方が良いと考えます。
(木) 本日のコラム384 知らない病気は目の前を通り過ぎる
「知らない病気は目の前に患者さんとして来られても気がつかずに見逃してしまう。」と書かれているのを読んだことがあります。本当にその通りで、不勉強だと多くの病気に気づかず漫然と診療をすることになります。
また知っている病気でも、きちんと対応しないとこれまた目の前を通り過ぎてしまいます。
例えば、旧態依然の診察とレントゲンで「骨は大丈夫、痛み止めを出しておきましょう。」とする診療は、いやいやちょっと待ってよと思わず声を出してしまいそうになります。体が骨だけで出来ているのならそれで良いでしょうが、筋肉、靱帯、血管、神経、皮下組織などの軟部組織の評価が超音波(エコー)やMRI、CTなどでなされるべきと考えます。
整形外科ではこの10年で一番変わったことは、超音波(エコー)を診療に取り入れたことです。普及率は60%ほどあるらしいのですが、きちんと読影できない先生がほとんどで、買ってみたものの埃をかぶっているというケースもよくあります。
エコーを使わなくても診断できる明らかな疾患だけエコーで診るなんて裏技を駆使する先生もおられるようです。
不勉強だとそういうことになってしまう訳です。全ての疾患に精通することは不可能ですが、せめて関連領域も含めてよく学び、よく経験して、しっかりと診断・治療を行いたいものです。
(金)
(土)
(日)
(月) 本日のコラム385 お見舞い申し上げます
週末の豪雨はかつて経験したことが無いほどのものでした。こんなに雨が降るもなのかと驚きました。鴨川も溢れそうで怖かったです。
多くの方が被害に遭われましたこと、心からお見舞い申し上げます。
運良く当院は大きな問題は発生せずに無事でした。診療も平常通り行っております。
(火) 本日のコラム386 高齢発症の関節リウマチ(RA)
高齢発症の関節リウマチは好発年齢の60歳未満で発症し、罹病期間が長い進行性の関節リウマチとされています。高齢発症の関節リウマチにも早期と進行期があります。また、疾患活動性の高いもの、ゆっくりと進行するものがあります。
関節リウマチの合併症の代表として、気管支性肺炎、濾胞性細気管支炎などの肺疾患があります。また心血管イベントのリスクも高いとされています。慢性腎臓病(
CKD )は高齢発症RAの30%から40%程度に認められます。
健常者においてリウマトイド因子( RF )、抗核抗体の陽性率は高まる傾向にあります。
*高齢発症の早期 RA の特徴
大関節からの発症が多い。急性発症や発熱を伴うことがある。Rheumatoid 因子や抗CCP 抗体は陰性であることが多い。リウマチ性多発筋痛症やRS3PE症候群に類似する場合がある。CRPが高い。
(水)
(木)
(金)
(土) 本日のコラム387 リウマチ性多発筋痛症とRS3PE症候群 1
・リウマチ性多発筋痛症(polymyalgia rheumatica;PMR)
ほかの原因が無い後頚部~肩、腰、大腿周辺の筋肉痛と朝のこわばりを主徴とする。60歳以上で発症することがほとんど。男女比は1:2~3女性に多い。病因は不明。
最初は、比較的急速に両側頚部~肩甲帯、骨盤帯、四肢近位の疼痛、朝のこわばりが出るようになる。筋力低下や筋萎縮は認めない。痛みはかなり激痛のことが多く、痛み止め(NSAIDs)に対する反応が鈍い。こわばりは朝方や安静後に強い。左右対称の多発性滑膜炎を認めるが、関節リウマチのように手関節に腫れが出ることは少ないとされている。微熱、食思不振、体重減少、倦怠感、うつ状態を伴うことがい多い。
側頭動脈炎:側頭部痛、顎跛行、視力低下 側頭動脈炎の50%にPMRが合併、PMRの20%に側頭動脈炎を合併。
特異的な検査所見は無いが、赤沈の亢進、CRPの上昇、抗核抗体陰性、好中球細胞質抗体陰性、関節リウマチ検査(RF因子、抗CCP抗体、ガラクトース欠損IgG)陰性・・・ただし高齢者は非特異的に陽性になることがあり、陽性故に否定することは出来ない。レントゲンで骨びらんなし。超音波検査(MRI,PET)で上腕二頭筋長頭腱滑膜炎、肩峰下滑液包炎、三角筋下滑液包炎
治療は、10-20mgのプレドニゾロン(PSL)を使用し、開始数日で著効する。効きが悪く30mgPSLで一週間使用しても改善しないときは診断自体に問題が無いか再考する。側頭動脈炎の合併や他疾患の可能性を探る。多くの症例ではステロイドを漸減、半年から1年以内で中止することが出来る。側頭動脈炎合併例では少量ステロイドに反応せずに大量のステロイドや免疫抑制剤の併用が必要。
少量のステロイドが著効するが、感染症や悪性腫瘍でも同様の病態を呈するので、除外診断は必須となる。
ステロイドの使用量:少量で開始プレドニゾロン10-20mg/日。(通常は10mg開始、体重が多い場合や症状が強い場合15mg)夜間痛が強いときは10mgを朝晩5mgとする。10mg/日で2週間投与しても症状の改善やCRPの低下がみられないときは15mg/日に増量する。
ステロイドの減量法:寛解後、10mg/日以上までは、2.5mg/週で減量。10mg以下は1mg/4週で行う。再発は1/3、治療開始から3年で1/3の症例が継続治療必要。減量は慎重に。減量中に、CRPの増加を認める場合は4週間は経過を見て症状が再燃する場合は、再燃前の量に戻し、4-8週ごとに1mg減量。1-2年を目標にステロイドを終了を考慮するが、5mg/日前後で再燃しやすく、長期治療を要することがある。
PMR診断基準( 2012年の欧州リウマチ学会と米国リウマチ学会の合同分類基準)
必須条件:50歳以上、両肩の痛み、CRPまたは赤沈上昇
相対条件:朝のこわばり(45分以上)2点
股関節の疼痛または可動域制限1点
RF および抗 CCP 抗体いずれも陰性2点
肩および股関節以外の関節痛なし1点
超音波:両肩関節で三角筋下滑液包炎、二等筋腱鞘滑膜炎、肩関節滑膜炎のうち、いずれかあり1点
超音波なし:必須条件+相対条件4点以上
超音波あり:必須条件+相対条件5点以上
○側頭動脈炎:高熱、新しい頭痛、顎跛行(食事・会話で顎が疲れやすい)、視力低下、複視
これらの症状はなく、高齢者の不明熱±呼吸器症状では鑑別疾患の一つとなる。
身体所見:側頭動脈の数珠状拡張、圧痛、拍動消失のいずれかがあれば側頭動脈炎の可能性が高い。
治療:prednisolone40-60mg/日で開始。すべての症状が消失するまで2-4週間初期治療量を継続。
(日)
(月)海の日
(火) 本日のコラム388 リウマチ性多発筋痛症とRS3PE症候群 2
・RS3PE症候群(remitting rseronegaitive symmetrical synovitis with pitting
edema)
臨床的特徴:両手の浮腫、突然発症の多関節炎、高齢者、RF 陰性、エックス線上骨びらんを認めない。
比較的稀なリウマチ疾患と考えられている。
50歳以上で発症、80歳以上も多い。男性に多い。急性または突然の発症、全身倦怠感、微熱、体重減少を伴うことあり。
最も特徴的な症状は「両手、両足の圧痕性浮腫」、手足では屈筋腱、伸筋腱の腱滑膜炎を伴うことが多い。発赤、熱間はなし。
関節痛は対称性。MP関節、PIP関節、手・足・膝関節。皮下結節はなし
血液:赤沈亢進、CRP上昇、慢性炎症による貧血あり。PF、抗CCP抗体、ANAは通常陰性(高齢者では)陽性のことあり)MMPは活動性に一致して上昇(悪性腫瘍に関連したPS3PE症候群でより高値)
画像:X線で骨びらん認めない。超音波・MRI:皮下の浮腫、関節の滑膜炎、腱滑膜炎(伸筋腱好発)
■悪性腫瘍の合併率:31-54% 固形がん以外に血液悪性疾患も多い→悪性腫瘍の検索が重要
治療:PSL10-20mg/日で異臭間以内に酒杯や祖億杯の浮腫が消失。数週~二ヶ月で関節症状も消失。2-4週の初期投与ののち効果が得たれたら漸減し中止を目指す。多くは6-12ヶ月以内に中止可能で再燃は少ない。(10-25%でPSL減量中に再燃。)
→ステロイドへの反応が悪い、減量後の再燃ケースは悪性腫瘍合併を考える。
経過中にRA,PMR、強皮症を発症したとの報告がある。
(水) 本日のコラム389 熱中症にならないために ~暑熱順応
熱中症は暑い環境下に体温の恒常性が失われる状態をいいます。
予防することが出来ますのでしっかりと対応しましょう。
まずは、暑いところは避ける、行かないのが一番大切です。自室や自宅でも起こります。エアコンがある場合は、早めに使うようにしてください。特に高齢者は暑さや喉の渇きを感じる能力が低下しており、早めの水分補給や室温管理が重要となります。乳幼児もまた同じですので気をつけましょう。
水分補給は失われた水気を補うのですが、汗と一緒に塩分も消失してますので、これも一緒に補う必要があります。スポーツドリンクは糖質が多く塩分は少なめです。出来るだけ経口補水液を飲むようにしましょう。経口補水液の作り方は、経口補水液1L=スポーツドリンク500ml+水500ml+食塩小さじ少々となります。甘みが減って少し塩っぱい感じでおいしくはありませんが、体には一番適しています。
お茶や水で水分補給を行う場合は、塩を含んだ固形物を一緒に摂るようにしてください。
熱中症の初期症状は、頭痛、体のだるさなど、なんとなくしんどくなってきます。またふらつき感などの症状が出ます。こうなると症状が進行する恐れがありますので、家族、隣人などに声かけをして対応してもらうのが良いでしょう。
(木)
(金) 本日のコラム390 ピロリン酸カルシウム沈着症(偽痛風、Crowned dens症候群、石灰沈着性頚長筋腱炎、椎間板性偽痛風)
ピロリン酸カルシウム沈着症は、関節軟骨内に沈着し時として関節内に放出され炎症反応を起こし発症します。高齢者に発症し、レントゲンで関節内に石灰沈着を認めます。急激に発症することが多く、変形性関節症や化膿性関節症などを鑑別を要します。
診断は、関節液内のピロリン酸カルシウムの同定で、次いでレントゲンで関節内の石灰化を確認します。ただし、ピロリン酸カルシウムが沈着していても、ほかの疾患のこともあるので注意が必要です。石灰化=カルシウムの沈着ですが、症状がこれから来ていると短絡的に考えないようにします。
関節内のピロリン酸カルシウムの沈着は、40歳以下ではほとんど無く、55歳以降、60-75歳で10%、80歳で30%と言われています。臨床症状を伴わないもの、急性炎症を起こしているもの、慢性の炎症のものがあります。
炎症が生じる機序は不明ですが、関節軟骨内に蓄積したピロリン酸カルシウムが関節内に放出され、好中球により貪食されることによって起こる自己炎症性反応とされます。
高齢者に多く、性差がない、膝関節などの大関節に多く発症、さらに発熱や倦怠感などの全身症状を起こすことが、痛風と異なる点とされています。高齢者で重症感もあり化膿性関節炎などと鑑別が必要。複数の関節に同時、また数日後に別の関節に起こることがあります。
検査所見として、硝子軟骨内に線状の高エコー像(痛風は軟骨表面に高エコー)。X線で軟骨内石灰化。CRP高値、赤沈亢進。関節液は黄白色に混濁し、顕微鏡検査でピロリン酸カルシウムの結晶を認めます。(レントゲンで点状もしくは線状の軟骨内石灰化+顕微鏡で平行六面体の結晶 2点が揃えば確定、一点のみは推定
治療:局所の冷却・安静、関節液廃液、長時間作用型のステロイド注入。NSAIDs。
(土) 本日のコラム391 CPPD(ピロリン酸カルシウム沈着症)
ピロリン酸カルシウムは、関節軟骨内に沈着することが多いが、靱帯、腱、線維組織などにも沈着し症状を呈することがあります。代表的なものとして、 Crowned
dens syndrome(CDS)、石灰沈着性頚長筋腱炎、椎間板偽痛風があります。
いずれも知っていないと分からない疾患です。
1.Crowned dens症候群
軸椎歯突起周辺にCPPDが沈着して炎症を起こします。高齢者、頚部痛、発熱、頚部硬直、亜急性~急性疾患 頸の回旋で疼痛、血液炎症反応高値、NSAIDs、ステロイドが著効。石灰沈着性頚長筋腱炎とのDD目的も兼ねてCT。
2.石灰沈着性頚長筋腱炎
頚部痛、頚部運動痛、嚥下痛、30-60歳、発熱軽微で炎症反応は高炎症反応が無いことも。咽後膿瘍、硬膜外膿瘍などが鑑別診断として必要。DD:頸椎CT、頸椎MRI、咽頭部痛はほぼ必発。
3.椎間板偽痛風
高齢者、外傷機転なし、激しい腰痛、発熱、高CRP、MRI(T1ISO、T2high)、DD化膿性椎間板炎、確定診断は椎間板穿刺必須。吸引できないときは生食数mlを注入し吸引。(培養検査も必須)治療はNSAIDsで劇的に改善。椎間関節内や椎間関節嚢腫内に起こると腰痛に加えて坐骨神経痛が生じることがある。椎間板線維輪石灰化を認めないことも多い。
(日)
(月)
(火)
(水)
(木)
(金) 本日のコラム392 多発性筋炎(PM)/皮膚筋炎(DM) 抗ARS抗体症候群
最終的には膠原病科や神経内科がメインとなりますが、筋痛を訴えて整形外科を受診することもあります。主な症状は、筋肉に対する自己免疫疾患ですので、自己の筋肉を攻撃することによって炎症を来たし、体のこわばり、筋肉痛、筋力低下を起こします。
発症のピークは50歳代ですが、若年から高齢まで幅広く認めます。
筋炎症状のみ→多発性筋炎
筋炎症状に皮膚症状を伴うもの→皮膚筋
*皮膚症状
・定型的皮疹:上眼瞼に浮腫を伴う紅斑(ヘリオトロープ疹)、手指(PIP、MP関節)・肘・膝の関節伸展部に落屑を伴う紅斑(ゴッドロン丘疹・徴候)
診断
・週単位、月単位で進行する上下肢帯・頚部屈筋の対称性筋力低下
・筋原性酵素の上昇(CK,アルドラーゼ、GOT,GPT、LDH)
・筋電図で筋原性変化
・定型的筋病組織所見:筋繊維の編成、貪食像、萎縮、再生、炎症性細胞浸潤
→これらの症状があり、皮疹なしで多発性筋炎、皮疹ありで皮膚筋炎
<筋炎特異自己抗体>
基本的にPM/DMでのみ認められる自己抗体のこと。原則、ひとりの患者には一種類のみ。自己抗体の種類によって症状が異なる。検査は五種類の対応抗原が含まれるものでスクリーニング。
抗ARS抗体症候群:筋特異性抗体のひとつ:間質性肺炎、発熱、関節炎、レイノー症状、機械工の手を認める。
治療
・DMの皮膚所見のみで筋炎、間質性肺炎を伴わないもの→遮光+ステロイド軟膏などの局所療法
・筋炎:中等量~高用量のステロイド内服(PSL換算で0.5~1.0mg/体重1kg)を開始。ステロイド投与でも十分な筋力低下の改善を認めず、血清CK高値の場合は、免疫グロブリン静注療法も考慮。
・間質性肺炎を併発:高用量のステロイドとタククロリムスやシクロフォスファミドの併用
(土)
本日のコラム393 上殿皮神経障害
上殿皮神経障害がNHKで報道されてから、認知度が上がったために当院でも電話による問い合わせが来るようになりました。上殿皮神経障害は、腰の筋膜を貫いて分布する神経が絞扼されて起こります。坐骨神経領域に痛みが生じることから、誤診されるケースもあるようです。
当院では、この絞扼による障害を超音波ガイド下に筋膜リリース(ファスチアリリース)を行い、症状改善をはかっています。結構痛いケースでもリリースにより随分と楽になりますので、困られている方はご相談ください。
なお、自己診断で別の疾患を上殿神経障害と思われているケースもよくあります。これもまた本来の疾患をきちんと治す必要があります。
(日)
本日のコラム394 失明が問題となる側頭動脈炎(巨細胞性動脈炎)
血管炎のなかには、自己免疫疾患として巨細胞性動脈炎があり、その一部は側頭動脈に炎症を起こし、その結果、失明することがあります。側頭動脈炎は巨細胞性動脈炎に含まれます。
側頭動脈炎は、リウマチ性多発筋痛症に合併することがあるので、注意が必要です。
側頭動脈-外頚動脈
眼動脈-内頚動脈
いずれも巨細胞性血管炎で内膜が肥厚し血流障害を起こし、眼動脈の場合は失明することがある。脳動脈で脳梗塞。
全身症状:発熱、倦怠感、貧血、赤沈亢進、CRP上昇
炎症:側頭動脈に沿った頭痛
内腔狭窄:虚血性視神経障害、視力低下、失明
そしゃく筋阻血→顎跛行
拡張:大動脈瘤、血圧左右差
・リウマチ性多発筋痛症(PMR)の合併:50%にPMRを合併、PMRの20%に巨細胞性血管炎を合併
治療はステロイド(プレドニゾロン0.5-1mg/kg/日) 慎重に漸減。再燃率50%、治療抵抗例、再燃例ではMTX、サイクロフォスファマイド、アザチオプリンなどを併用。
IL-6受容体阻害剤であるtocilizumab(TCZ)が保険適応となっている。(2017年よりステロイドに副作用・抵抗性、再発例など))
(火)