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池田医院・診療日記 | |||||||||||||||||||||
信頼とまごころの医療 からだにやさしい医療をめざして | |||||||||||||||||||||
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整形外科 外科 リハビリテーション科 | |||||||||||||||||||||
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2018年10月 台風来ないで! | |||||||||||||||||||||
1日(月) 本日のコラム414 もう台風は来ないで 今年は台風が複数やってきて大変な被害が出ました。自然災害には太刀打ちできません。なんとか身の安全を確保するのに手一杯です。9月に来た台風21号は25年ぶりの大型台風で京都の西側を通過しました。強風による被害が各地で出ましたが、当院でも壁面が一部損壊しました。ただただ呆然とするばかりです。台風が来ないことを祈るばかりです。 |
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2日(火) | |||||||||||||||||||||
3日(水) | |||||||||||||||||||||
4日(木) | |||||||||||||||||||||
5日(金) | |||||||||||||||||||||
6日(土) | |||||||||||||||||||||
7日(日) | |||||||||||||||||||||
8日(月) | |||||||||||||||||||||
9日(火) | |||||||||||||||||||||
10日(水) 本日のコラム415 止血方法 ちょっとしたケガで血が出ている場合、止血を行う必要があります。まず、吹き出るような出血は動脈性の可能性がありますので直ちに出血部位を押さえて血が出ないようにして救急搬送を依頼します。水鉄砲のように飛ばずににじみ出るような出血は大抵静脈性の出血ですから、ケガをした部位をしっかりと洗浄して圧迫します。重力の関係で、下げるとなかなか止まりにくいので、心臓より高く上げて押さえてください。 軽い圧迫を5−20分続けると大抵の出血は止まります。抗凝固剤などを服用している場合は、もう少し長めに圧迫止血します。強く押さえすぎないようにしてください。静脈圧はそれほど高くありませんので軽い圧迫で止血できます。 大切なことは、慌てないことです。血を見るとどうしても焦ってしまい、何度も止血できたか時間をおかずに確かめてしまいがちです。じっと押さえていれば必ず止まります。途中で止血を解除してのぞき込むと、いつまでも止まらないことがあります。とにかく最低10分は気になっても我慢して傷を見ないで押さえるようにしてください。 |
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11日(木) 本日のコラム416 四十肩、五十肩(肩関節周囲炎) 昔は二年ほど放っておけば治ると言われていたのですが、治療を行わないと4−5年経っても50%に何らかの症状が残ることが分かっています。 実際に診療する機会の多い疾患ですが、医療機関の受診が遅れてしまうケースが後を絶ちません。発症2週間までに来て頂けると適切な治療を早期に開始することができ、後遺症は出にくいのですが、これが一ヶ月も経つと可動域が減少していわゆる「凍結肩」となり治療に難渋することになります。 肩関節周辺に痛みがあり、肩を動かすと痛みが強くなる場合は、出来るだけ早い受診をお勧めします。 |
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12日(金) | |||||||||||||||||||||
13日(土)本日のコラム417 休みが必要なときはしっかり休む 膝周りの使いすぎによる痛みは、しっかりと休めて完全に消炎除痛された状態まで戻すことが大切です。中途半端な運動再開は容易に再燃します。 膝周りの過使用による炎症性疾患:大腿四頭筋炎、膝蓋靱帯炎、オスグッド・シュラッター病、鵞足炎、腸脛靱帯炎など 初期治療としては、局所の安静、アイシング、ストレッチ。消炎鎮痛剤の長期投与は控える。ステロイド注射(ドーピングの問題あり)、局所麻酔薬など。 試合の日程などで、なかなか安静時期を取ることが出来ないケースが多いのですが、休むことが復帰の近道になると考えることが大切です。 |
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14日(日) | |||||||||||||||||||||
15日(月) 本日のコラム418 膝内側側副靭帯損傷、外側側副靱帯損傷 medial collateral ligament injury,latelal
collateral ligament injury 膝を捻ることで発症します。スポーツ、特にサッカー、柔道、アメフト、ラグビー等で膝を強制的に内反、外反すると起こりやすいです。 外側側副靱帯は単独損傷は少なく複合靱帯損傷として起こります。内側側副靭帯は単独損傷も多く、激しく内反すると靱帯付着部での裂離骨折や前十字靭帯、半月板の損傷を伴うことがあります。 内側側副靭帯は損傷程度によりグレードI,II、IIIに分かれています。 GradeI:靱帯が少し伸ばされただけで関節の安定性には問題ないもの。 GradeII:伸展位では問題ないが関節を30度に屈曲して内反ストレスを与えると不安定なもの。 GradeIII:伸展位でも30度屈曲位でも不安定なもの。 このような用手的な検査に加えて超音波断層検査を行います。靭帯損傷の程度や靭帯周辺の腫れ、裂離骨折などが分かります。またストレスを加えて動的に見ることもできます。 治療はグレードI,IIは保存的に行います。受傷当初はRICEを行い、外反しないように包帯やテープで固定します。靱帯の損傷は軽度でも顕微鏡レベルでは修復に4週間かかるとされています。 受傷数日の急性期が過ぎれば、アイソメトリックな膝周辺の運動を行います。歩行時痛が無くなって圧痛もかなり改善して痛みが取れてきたら軽めのジョギング等を開始します。 スポーツ復帰を急がれる場合は、内側側副靭帯損傷用の装具を装着します。(GradeI) <GradeI> 不安定性は屈曲位、伸展位のいずれでも生じない。MCL付着部の強い疼痛と圧痛を認めます。過伸展で疼痛が増強。伸展で付着部に力が掛かるため。痛みが強ければ支柱付き膝装具の装着し歩行時痛を軽減ます。付着部での異所性骨化を生じることがあります。→必要に応じて受傷2〜4週後にレントゲンで確認をします。 <GradeII> 軽度屈曲位で外反すると不安定性があります。10度の伸展制限付き膝装具を装着。後十字靱帯損傷を合併している場合は手術を考慮。 <GradeIII> グレードIIIの場合、切れた靱帯を縫う手術を選択することもあります。 スポーツ復帰は損傷部の疼痛消失、可動域の改善、外反不安定性の消失、ストレステストの陰性化を確認します。コンタクトスポーツは復帰初期は膝装具装着が推奨されています。 注:GradeIは関節固定や装具は必要ないとする意見もあります。。GradeIIは外反制限する装具を装着。(10度程度の進展制限のできる支柱付き装具伸展時に付着部に大きな力が加わるため) いずれも早期から加重を開始し、早期運動療法を行う。GradeIIで後十字靱帯損傷と合併例では、手術を考慮する必要あり。シリンダーギプスにより固定は現在では使用しなくなっています。 |
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16日(火) 本日のコラム418 膝関節内の疾患 ・まずは保存療法 有痛性分裂膝蓋骨(運動量の軽減→だめなら外側広筋解離術)、隔壁障害(タナ障害、膝蓋上滑膜ひだ障害→保存→手術) 離断性骨軟骨炎(OCD)、早期変形性膝関節症 ・疼痛の発症早期から手術療法が推奨されるもの 可動域制限を伴う半月板損傷、ACL損傷、骨軟骨片を伴う外傷性膝蓋骨脱臼(伴わない初回脱臼は1−2週間の固定、その後ROMex) |
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17日(水) | |||||||||||||||||||||
18日(木) 本日のコラム419 当院における保険対応 交通事故の場合、健康保険と自賠責保険(+自動車保険などの任意保険)が使われます。いずれも一定の条件下で選択可能です。以下の注意点をよく読んでご理解の上、選択するようにしてください。
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19日(金) | |||||||||||||||||||||
20日(土) | |||||||||||||||||||||
21日(日) |
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22日(月) 本日のコラム420 大後頭孔の症候 〜大後頭孔症候群 大後頭孔部に、髄内、髄外の腫瘍などの病変が生じて症状を現します。診断が困難な理由として5つを挙げています。 1.病変の大きさの割に症状が少ない 2.症状が動揺、消長する(病初期の痛みはしばしば経過中消失し、進行とともに再発する。繰り返すことあり) 3.部位特異性のある症状に乏しい 4.病変レベルと一致しない上肢末梢の症候、偽性局在徴候を示す 5.診療各科と画像診断の境界領域であり、診断のpitfallとなる ・原因:髄外腫瘍(良性、悪性)、髄内腫瘍 症状:初期は後頭部〜頚部の疼痛(通常は患側の一側性)または上下肢の感覚異常(しびれ、温痛覚・触覚の障害、発生機序が不明な下位頚髄〜上位胸髄の前角細胞障害による)で発症し、進行すると上下肢の麻痺、手の巧緻障害が出てくる。 |
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23日(火) |
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24日(水) | |||||||||||||||||||||
25日(木) | |||||||||||||||||||||
26日(金) 本日のコラム421 上位頚椎部障害の神経症候 <後枝:後頚神経叢> 第1頚神経:純粋な運動枝:小後頭直筋、大後頭直筋、横突後頭筋、感覚関与なし 第2頚神経:上頭斜筋、下頭斜筋、板状筋、最長筋 第3頚神経:最長筋、半棘筋、腸肋筋 *第2、第3頚神経は後頭部〜後頸部の感覚を伝達(後頚神経叢) <前枝:頚神経叢> 表在枝:感覚:第2,第3頚神経 小後頭神経:耳後部の後頭 大耳介神経:耳介付け根 頚皮神経:前頚部 鎖骨上神経(第3神経が形成)肩周囲 深枝:筋支配 1−2頚神経深枝+舌下神経→おとがい舌骨筋、甲状舌骨筋、胸骨甲状筋、胸骨舌骨筋 ・末梢神経障害 同じ神経根でも分岐後、別の経路となるので感覚障害と運動障害が常に同時に存在するとは限らない ・神経根障害 第1〜第3頚神経根障害では、上肢の神経根徴候が見られない。根障害のレベルの同定は困難 1.感覚障害 第1頚神経は感覚を伝達していない 第2、第3頚神経は後頭部〜後頸部(大部分が第2頚神経)、前頚部〜鎖骨付近(第2、第3が神経叢を経ているので同定不能、いずれか一方の神経根障害のみでも前頚部〜鎖骨周辺の広い範囲で感覚障害) 2.運動障害 後頸部、前頚部の筋群は複数の上位頚神経根が神経叢を形成しているために単独の神経根障害では運動障害は自覚されない場合が多い。逆に、運動障害が認められても障害神経根レベルを同定するのは困難。運動障害として、開口動作、頭部前後屈、肩挙上。 開口障害→上位頚神経の障害 頭前屈障害→胸鎖乳突筋障害→上位頚髄神経OR副神経の障害 頭後屈→頭半棘筋・板状筋(脊髄神経の多髄節支配)、僧帽筋(副神経+第3・第4頚神経)、頚半棘筋→上位頚神経のみの障害では明らかな運動障害として捉えにくい。 ・第1〜第2頚髄障害 診断:高位診断+横位診断 どのレベルでどの部位が障害されているかを判断。 1.急性損傷 骨折や脱臼で急性上位頚髄損傷。完全切断、部分切断。いずれも初期には脊髄ショックとなり、多くの場合、完全運動麻痺+感覚神経麻痺(受傷レベル以下の表在感覚、深部感覚ともに完全消失。)多くの場合で、尿閉、便失禁、便秘。感覚障害部で皮膚温上昇、発汗の停止。脊髄ショック期を過ぎると不完全切断の場合は、足趾のわずかな自動運動を観察することが多い。 第1〜第2頚髄の完全断裂:多くは休息な死。免れたら両上下肢の完全弛緩性麻痺・完全な知覚消失となる。心拍数上昇、血圧低下、横隔神経麻痺による呼吸停止。Horner症候群(縮瞳、眼瞼下垂、眼球陥凹)の出現。尿閉、便秘。三叉神経脊髄路が障害され、四肢体幹の感覚障害だけで無く、顔面の感覚障害を生じる。(理由:三叉神経は橋レベルで髄内に入り、上位頚髄まで下降しているため 不完全断裂:損傷が一側の場合、交代制半側感覚鈍麻が生じる。(同側三叉神経障害による顔面同側の感覚障害+反対側の交叉性の四肢体幹感覚障害) 2.慢性損傷 慢性的な脊髄圧迫による障害。髄外圧迫と髄内圧迫がある。 髄外圧迫:髄膜腫、神経鞘腫、悪性リンパ腫の脊柱管内への浸潤などの髄外腫瘍、Chiari奇形による小脳扁桃のヘルニア、環軸椎脱臼、頭蓋底陥入症、椎間板ヘルニア、脊椎カリエスの膿瘍形成。症状の特徴として項部痛と頚部の運動制限が高頻度。加えて上位頚神経支配領域に感覚障害(根症状)。脊髄圧迫で初期には、解離性感覚障害(温痛覚が障害、触覚温存)、進行すると圧迫部以下の全感覚障害となる。第1〜第2頚髄圧迫では三叉神経脊髄路障害による顔面の感覚障害が出ることがある。反射は、四肢で腱反射が亢進。足、膝の間代。病的反射(+)運動障害は四肢の痙性麻痺。呼吸筋麻痺。下位頚髄の静脈潅流障害による手の巧緻障害・手内筋萎縮。膀胱障害は排尿困難・遅延で始まり尿閉。さらに悪化すると自立性の尿失禁。自律神経障害として高度圧迫で四肢体幹の立毛反射消失、発汗消失。大後頭孔より上位が圧迫されると、頭蓋内圧亢進症状や延髄症状(徐脈、体温低下) 延髄脊髄移行部での圧迫は、四肢麻痺についても上肢に強い症状や一側上肢と対側下肢の麻痺となることがあるので注意。 髄内圧迫:ALSや多発性硬化症と誤診されることも多い。感覚障害は脊髄空洞症に代表される脊髄中心部の障害の症状(非対称の宙づり型感覚障害、一側性の感覚障害)宙づり型とは、内側の頚髄領域の感覚神経が障害され外側の腰仙髄は正常となること。 第1〜第2頚髄が圧迫されると側頭部〜後頭部の解離性感覚障害が生じる。また広がって三叉神経脊髄路の圧迫で顔面の感覚障害。運動障害は髄外圧迫では早期に痙性麻痺を呈するが、髄内圧迫では痙性麻痺は目立たず、圧迫部の前角細胞障害が目立つ。早期には反射亢進は認めないことも多い。圧迫進行で膀胱障害や自律神経障害。 *後頸部〜後頭部の感覚障害は、第2頚神経障害に特徴的。 |
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27日(土) | |||||||||||||||||||||
28日(日) |
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29日(月) 本日のコラム422 C3/4 高位障害の特徴 頸椎の高位と髄節は1分節ほどずれており、C4/5はC6髄節のほぼ中央、C5/6はC7髄節の中央となり、C3/4はC5髄節のやや頭側寄りにある。 1.運動障害 ・筋力低下 C3/4高位で、障害を受けるのはC5髄節のやや頭側。三角筋筋力低下8割。三角筋以下の筋力低下5割程度。手内筋の萎縮や手指のしびれは静脈のうっ滞による変性と考えられている。 ・巧緻障害 8割に巧緻運動障害。C2,C3髄節には脊髄固有ニューロンがあり、感覚と運動ニューロンを橋渡ししている。これがC3/4高位で脊髄固有ニューロンの軸索が圧迫されると巧緻障害が出ると考えられている。 ・歩行障害 重症度に応じて歩行障害が出る 2.感覚障害 手から上腕あるいは肩口まで4割。手から前腕あるいは肘まで5割。手全体に限局1割。全指尖のしびれ感67%。感覚障害は100% C6を中心にC5からC8まで広く障害。中下部胸髄レベルの圧迫感、帯状の締め付け感がでることあり。(固有ニューロンの障害) 3.自律神経症状 脊髄固有ニューロンは上行枝が小脳へ、下行枝はC6-8運動ニューロンに投射。C3/4脊髄固有ニューロンが障害されるとめまい、ふらつきがでるとされている。(交感神経系刺激によるBarre−Lieou症状とは異なる) ■他覚所見 1.反射:上腕二頭筋腱反射以下の亢進が高率に起こる。 2.後索障害:筋固有感覚と識別感覚の乖離が起こることがある ・筋固有感覚 親指探し試験、指鼻試験 ・識別感覚検査 皮膚描画感覚 立体感覚 ■徴候 1.偽性アテトーシス 指を伸展させると位置を保てずゆっくりくねくねと動いてしまう状態 2.imitation synkinesia 一側の手関節を力強く屈曲伸展させると対側も同様に動く状態。この障害はどのレベルでも起こる |
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30日(火) 本日のコラム423 中下位頸椎の症候 神経根症、脊髄症の特徴と高位診断 <神経根症> ほとんどが片側の頚部痛(項部、肩甲上部、肩甲骨上角部、肩甲間部、肩甲骨部)で発症する。頚部痛単独7割、上肢痛あるいは手指のしびれを併発3割、頚部痛が前駆せずに上肢痛あるいは手指のしびれ感で発症した例は無かったとする報告あり。しびれ感は部位が移動せず、日によって異なることがない。移動する場合は、頸椎疾患を除外して良い。しびれはしばしば朝方に改善して午後、夕方に強い。慢性例では頚部痛が無い例もある。初診以降、ほとんどで症状は改善する。手術は悪化例ではなく改善の少ないものとなる。 *C7神経根症 しばしば狭心症と誤診。鎖骨下方〜胸筋部に痛み。真の狭心症で生じる胸骨部には無い。 しびれ、筋力低下の神経支配は、より強い部位が主病巣。 <頚髄症> 多くが手指のしびれで発症。両手同時よりも一側に始まり、まもなく両手となることが多い。項部痛で発症することはほぼ無い。初発症状:手のしびれ6割、足のしびれ1割。四肢あるいは体幹への電撃性ショック、指のもつれなどは一割以下。指のしびれが主訴で頚部痛が先行もしくは同時に発症しない場合は神経根症は除外してよく、まず脊髄症もしくは絞扼性末梢神経障害を疑う。しびれ感が常にあり、強さもほとんど変動しない。症状は最初に灰白質障害(脊髄前角・後角)によるものがでて、次いで、白質障害(錐体路、脊髄視床路)がでることが多い。 指のしびれ感は灰白質由来、続いて巧緻障害(手指のもつれ、箸使い、書字、ボタン掛け)がでる。病変が拡大し白質に及ぶと足の引きずり、もつれなどのけい性歩行。足先、下肢、体幹のしびれ、さらに排尿障害がでる。下肢の感覚異常はしびれ感では無く、風呂の温度が熱く感じるなど温度覚異常で自覚されることも少なくない。 高位診断:しびれがどの部位から発症したかが大切。C3/4、C4/5橈側の指ないしは全指。C5/6母指を除く尺側の2−4指で発症。C6/7小指から(ほとんどない)。軽症側のしびれの初発も高位診断に使える。 *一側のしびれ、巧緻障害+対側の温痛覚障害 *両手に朝方強いしびれ、時間とともに徐々に改善→手根管症候群 |
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31日(水) 本日のコラム424 上中位胸椎の神経症候 他の部位に比べて脊髄、神経根が障害されることは少ない。いずれの場合も、脊髄の灰白質障害による髄節徴候よりも白質障害による長経路徴候である下肢末梢の症状で始まることが多い。従って他部位の障害と間違えたり見過ごさないようにする。 神経根・脊髄を外部から圧迫する病変と非圧迫性の髄内病変に分けられる。 圧迫性病変:胸椎の変性疾患(後縦靭帯骨化症、黄色靱帯骨化症、椎間板ヘルニア)、硬膜内髄外腫瘍(神経鞘腫、髄膜腫)、硬膜外腫瘍(悪性リンパ腫)、転移性悪性腫瘍(乳がん、前立腺癌、肝がん、多発性骨髄腫)、脊椎炎(結核性脊髄炎) 非圧迫性病変:髄内腫瘍、脊髄動静脈奇形、特発性脊髄ヘルニア、神経内科疾患(多発性硬化症、ウイルス性脊髄炎、脊髄小脳変性症) <症状> 感覚障害:初発症状は、足趾足底のしびれ感。ほかに下肢全体〜体幹のしびれかん、胸部・腹部・腰部の締め付け感。椎間板ヘルニアで突然の胸背部痛で発症することあり。 運動障害:立位・歩行時のふらつき、もつれ、不安定、脱力感、歩行時の足のつっぱり感、突っ張る痛み。走れない、雲の上を歩く感じ。 排尿困難:膀胱障害 <症状の進行> 下肢末梢に始まるしびれ感は脊髄症の進行とともに上行。下肢の運動障害も不安定性・脱力感から運動麻痺、けい性歩行となる。症状が進行すると排尿障害も顕在化する。 <所見> 1.痛み 胸背部痛+の例では、叩打痛のチェック。転移性脊椎腫瘍、化膿性脊髄炎、結核性脊椎炎、椎体圧迫骨折 背部中央から肋間:腫瘍、椎間板ヘルニア、帯状疱疹 2.感覚障害 体幹では感覚鈍麻、下肢では感覚過敏、異常感覚 3.運動障害 下肢の運動障害 4.反射 一般的に下肢腱反射は亢進。(7−8割)急速に進行した例では消失のことあり。バビンスキー徴候60%陽性 5.排尿障害 6.顔面の症状 T1高位でホーナー症候群(病変側で縮瞳、眼瞼下垂) T2-3高位でハーレークイン症候群(病変対側の顔面の紅潮、発汗過多) *Hofmann徴候+は頸椎疾患であることが多い *しびれ感が大腿前面にも及んでいる場合は、胸椎疾患を考慮。 *下肢腱反射の減弱が合併→胸腰椎以下の病変の合併を考慮。 |