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本日のコラム437 謹賀新年
明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。
(火) 本日のコラム438 筋疾患と脊椎脊髄病変との鑑別
<多発性筋炎・皮膚筋炎などの筋炎>
急性、慢性に発症し、四肢近位優位型の筋力低下が起こる。階段が上りにくい、腕を挙上しにくいなどの症状に結成CK上昇を伴う。腱反射は減弱または消失し、感覚障害は認めない。高CK血症は数百から数千IU/Lとなる。CKアイソザイムはMM型となる。
確定診断:筋生検所見、筋電図所見を参考にする
筋電図では、随意収縮時に低振幅、短持続などのミオパチー所見。針刺入時に高頻度反復放電、線維性収縮(脱神経所見)、陽性鋭波をしばしば認める。脂肪抑制MRIで障害筋が描出が可能。(限局された筋が障害される)
皮膚筋炎の特徴:ヘリオトロープ疹(片側、両側の眼瞼部の紫紅色浮腫性紅斑)、Gottron徴候(手指関節背側の角質増加、皮膚萎縮を伴う紫紅色紅斑)、四肢関節伸側の紫紅色紅斑。悪性腫瘍の合併率は20-40%なので十分な検索が必要。筋力低下はあっても軽微。
<封入体筋炎>
50歳以降に好発。慢性進行性の筋炎。下肢近位筋、特に大腿四頭筋の障害が強い。ステロイドホルモンに反応しない症例が多い。機序は不明。
<感染性筋炎>
感冒などを契機にウイルス感染で発症。原因ウイルスが特定できることは少ない。症状は多発筋炎と同じだが、急激に発症する。。
Bornholm病:コクサッキーB群ウイルス。筋力低下、発熱、下肢や上腹部に発作性疼痛。予後は良好。CKが数千に上昇することが多い。
■進行性筋ジストロフィー■
1.Duchenne型筋ジストロフィー(DMD)
伴性劣性遺伝。男児に発症する。女性で症状が軽く発症も遅いmanifested carrier(症候性保因者)がある。症候性保因者の多くは
DMD罹患男児を出産する。初発症状は処女歩行の遅延。歩行可能となっても転倒しやすく、走れない、飛べないなどの症状がでる。
四肢近位筋、体幹筋の筋力低下、萎縮が進行する。16-17歳以降は心不全、呼吸障害がでるが人工呼吸器装着で延命できるとされている。
2.Becker型筋ジストロフィー
伴性劣性遺伝。初発年齢は5-25歳で、歩行不能もDMDよりかなり遅い。四肢近位筋の筋力低下と筋萎縮が特徴。腓腹筋の仮性肥大。心機能低下が起こり右心不全の発症。
3.顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー
常染色体優性遺伝。10代で発症。閉眼筋が弱く、口笛が吹けない。翼状肩甲。仮性筋肥大なし。CK軽度上昇
4.支帯型筋ジストロフィー
上記1,2,3以外の筋ジストロフィーを本症と診断することになる。
5.遠位型ミオパチー
遠位筋優位に障害。遅発性遠位型ミオパチー、遠位型筋ジストロフィー、縁どり空胞型遠位型ミオパチー、眼・咽頭遠位型ミオパチーなどがある。
6.先天性筋ジストロフィー
脳形成障害または知能障害を伴う群、伴わない群に分けられる。
■筋硬直性ジストロフィー■
筋硬直(ミオトニア)を起こす一群の疾患。筋硬直性ジストロフィーが一番多い。特徴は筋硬直現象(手を握ると容易に開けない、把持性筋硬直。叩打性筋硬直:母指球、舌圧子の上をハンマーでたたくとクローバー状に舌変形。)、知能障害、早期前頭部禿、白内障、四肢近位筋の萎縮、筋力低下。斧状顔貌。頭蓋骨肥厚。脊柱靱帯骨化症、心伝導障害(房室ブロック、脚ブロック)、針筋電図で強直性放電(刺入時に高頻度反復発射がおこり、スピーカーで聴くと急降下爆撃音)。第19染色体長腕に異常。
■先天性ミオパチー■
出生時に筋緊張が低下している。哺乳力障害、呼吸困難、歩行開始の遅れ
(水)
本日のコラム439 胸痛・腹痛を呈する内臓疾患と脊椎脊髄疾患との鑑別
<Cervical angina 頚性狭心症>
頸椎神経根の圧迫で狭心症様の前胸部の痛みが起こることがある。前胸部の痛み、腋窩(わきのした)から左上肢に放散する痛みやしびれ、ほとんどの例で頸椎の運動制限(特に伸展制限)が起こる。
頸椎運動で放散痛は出現しても胸痛発作の再現は少ない。C5/6、C6/7椎間に責任病変を認めることが多い。投薬はあまり効果が無く、頚椎カラーや頚椎牽引が有効とされる。運動麻痺の合併が無い限り、保存治療が第1選択となる。発生機序は十分には解明されていない。狭心症との鑑別が重要。心臓の器質的疾患を除外する。
<体幹部帯状絞扼感>
体幹部で帯状に締め付け感が出る。もっと多いのは多発性硬化症で、頚髄レベルの圧迫性ミエロパチー(OPLL、椎間板ヘルニア)、両側の神経根症、糖尿病性体幹ニューロパチーなどで起こる。この帯状絞扼感は偽性局在徴候であることが多く、病変レベルと一致することが少ない。長経路徴候(Long
tract sign)とされている。→胸椎レベルだけで無く頸椎レベルの検索が必要。
(木)
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(日)
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(水)
<頚部脊髄症>
何らかの原因(圧迫性、血管性、炎症性、外傷性、放射線性)により、頚髄に障害が生じて脊髄麻痺を来したもの。ほとんどが圧迫性。応力は脊髄中心部から始まり圧迫の増大に伴って側索後方に広がる。
| 服部の分類 | ||
| I型 | 脊髄中心部( 脊髄灰白質の障害) | 上肢筋萎縮、上肢運動障害、上肢反射(↓)、下肢反射(N)、上肢知覚障害や下肢症状は無い |
| II型 | I型+後側索部(錐体路) | I型+後側索部:I型の症状に加えて、下肢反射(↑)、軽度の歩行障害。 下肢・体幹の温痛覚障害(-) |
| III型 | II型+前側索部(脊髄視床路) | II型の症状に加えて、下肢・体幹の温痛覚障害(+) |
| *I型の更に初期に、脊髄後角の楔状束が障害されて、C3/4レベルでも手のしびれから発症することが殆どで初発症状となる。 | ||
*服部の分類は病理学的障害の進行度に応じて分類されている。
頚髄症の症状は髄節徴候(Segmental sign)、長経路徴候(long tract sign)に分けられる。
髄節徴候:脊髄中心部の灰白質障害による。上肢のしびれ感、感覚障害、進行すると前角細胞まで障害されると筋力低下や筋萎縮が出現。しびれ感は障害の責任高位によって異なる。
長経路徴候:下行性運動路(錐体路など)および上向性感覚路障害(脊髄視床路や後索など)により歩行障害、下肢・体幹の感覚障害、反射亢進、膀胱直腸障害が生じる。手の巧緻障害は、手固有筋の痙性麻痺が原因とされ、筋萎縮が無い初期にも見られる。筋電図で神経原性変化を認める。
*索路障害 層状構造のため、下肢から上行性に麻痺が広がるのが特徴。
頚髄症の初発症状:手指のしびれ感が約50%、下肢・体幹のしびれを含めて64%。しびれ感は障害された脊髄高位に発症する特徴がある。
C3/4:全指
C4/5:母指~中指
C5/6:中指~小指
手術に至る経過:片側手指のしびれ感で発症し、次第に対側手指、下肢へとしびれ感が拡大し、歩行障害もきたして手術を受けることが一般的とされる。
灰白質→後側索→前側索と障害が進行する 3人に1人は巧緻障害を認める。頚肩腕痛で始まる例は10%以下。馬尾障害である下肢の冷汗や灼熱感で発症した例が7%に見られたという報告がある。
他覚所見:しびれ感以外の上下肢表在感覚障害(8割)、深部感覚障害(下肢で55%)、上下肢の筋力低下(上肢6割、下肢8割)、筋萎縮(3割)、上下肢の反射亢進(上肢6割、下肢8割)、Babinski反射+4割。
(金)
本日のコラム
441 頚椎変性疾患2
<頚部神経根症>
根症の特徴は、頚部から上肢の放散痛。頚部脊髄症では頚部痛~上肢痛は伴わない。(脊髄症ではまれに頚部痛あり)
放散痛の分布:C6上肢外側、C7上肢後方、C8上肢内側
*頚性狭心症:C7神経根痛であることが多い
しびれ感:脊髄症では手のしびれ感に責任高位によりパターンがあるが、根症ではパターンが明らかで無いことが多い。C5しびれ感なし、C6母指、C7示・中指、C8小指にしびれ。頚髄症に比し単指に強くしびれがでる。
筋力低下:C5三角筋、C6上腕二頭筋、C7上腕三頭筋、C8手内筋、実際には重複支配が多く、2つ以上の筋で低下が出るのは重度の神経支配障害と考える。
*Keegan型頸椎症(解離性運動麻痺) 頚椎症性筋萎縮症(CSA)は近位型(Keegan型頚椎症)と遠位型(平山病)がある
Keegan型頸椎症では、肩関節の挙上障害を特徴とする。感覚障害をほとんど伴わず、三角筋C5、上腕二頭筋C5,C6の筋力低下を認める。改善は上腕二頭筋から見られる。C6支配の手内筋は筋力低下を見ない。
神経根症では、脊髄症のような明らかな感覚障害を起こすより、しびれ感の強い指に異常感覚を訴えることが多いとされている。
<脊髄神経根症>
脊髄症+神経根症となったもの
高位診断の注意:根症レベルより脊髄は運動で1髄節、感覚で2髄節上方にずれている。従ってC5/6の障害で、C6神経根、運動はC7髄節、感覚はC8髄節の障害となる。
(土) 本日のコラム442 頸椎変性疾患3
<腰部脊柱管狭窄症>
腰痛が伴わない例は10%程度で、下肢症状に加えて軽度の腰痛を訴えることが多い。立位の継続や歩行で下肢の痛みやしびれが悪化し、歩行を継続すると症状の程度、範囲が広がる。症状は前屈位で緩和もしくは消失する。自転車で前傾姿勢をとると症状は誘発されない。馬尾性間歇性跛行。
SLRは8割が正常。知覚障害は75%程度にでる。歩行負荷テストで症状が出る。多根性の馬尾障害の場合、髄節に一致せず下肢全体に知覚障害をみることがある。安静時の知覚障害は不可逆性変化を意味する。筋力低下、下垂足。膀胱機能障害。アキレス腱反射の減弱・消失。下肢腱反射が亢進している場合は、中枢側での障害を考え上肢の腱反射や病的反射、胸椎レベルの障害も考慮する。
*足背動脈は正常でも10%が触知できないが、後脛骨動脈は0.1-0.2%と報告されている。
(日)
(月)
(火) 本日のコラム443 多発性硬化症(MS)
多発性硬化症とは、中枢神経の脱髄疾患で、時間的、空間的に多発する。日本では15,000人程度の患者登録がある。女性に多く、平均発症年齢は30歳前後だが、小児~50歳以降でもみられる。
急性あるいは慢性進行性に起こり、発症部位により症状はさまざまとなる。大脳(認知機能障害、てんかん)、視力低下、視野障害、複視、難聴、構音障害、顔面麻痺、三叉神経痛、脱力、ふらつき、感覚障害、排尿・排便障害など多岐にわたる。
急性増悪は数日~2週間程度で症状のピークとなる。慢性進行性では半年~一年以上にわたって徐々に憎悪す
初回発作のものをCIS(clinically isolated syndrome)と呼び、多くの例では急性増悪(再発)と寛解を繰り返す。→寛解再発型MS
ある時点から症状が徐々に憎悪していく二次進行型MSに移行することが多いとされている。
*一部症例では、最初から徐々に進行する一時進行型MSとなる。
症状
視神経炎
:通常、片側性に生じ、急速に主に視野の中心部がぼやける(霧視)、視線を動かすと眼痛。初回のMSによる視神経炎は視力回復は比較的良好。再発を繰り返して障害は重くなる。
脊髄炎
MSの脊髄炎は白質(側索や後索)に起こることが多い。障害される部位によって症状は異なるが、感覚障害(表在、深部感覚の鈍磨、びりびり感などの異常感覚)、歩行障害(片側や一肢に多いが、両側で痙性不全対麻痺)、排尿障害、便秘が生じる。
脳幹・小脳障害:眼球運動障害、顔面神経麻痺、三叉神経痛、回転性めまい、構音障害。
大脳障害:認知障害(認知機能低下、無気力、抑うつ)
温度感受性:体温が上がると一時的に症状が憎悪することがある。
(水)
(木)
(金) 本日のコラム444 脊髄疾患
<視神経脊髄炎(NMO)>
視神経脊髄炎(neuromyelitis optica:NMO)は、重症の視神経炎と横断性脊髄炎を特徴とする。
特有の自己抗体アクアポリン4(aquaporin4,AQP4)陽性と陰性がある。
急速で重篤な視力低下をきたす。
脊髄炎は、急速でしばしば横断性、重度の運動感覚所外、膀胱腸腸障害を起こす。
難治性吃逆や嘔吐などの脳幹・小脳障害。意識障害などの大脳症状。
<筋萎縮性側索硬化症 ALS>
上位・下位ニューロンが選択的に侵される原因不明の慢性進行性神経変性疾患。症状は運動ニューロン障害のみ。典型例では、感覚障害、膀胱直腸障害、小脳症状、錐体外路症状、自律神経症状はでない。
大多数が孤発性である。分類としては個発性、家族性、グアム型に分けられる。
(孤発性筋萎縮性側索硬化症)
初発症状は、上肢型50%、下肢型25%、球麻痺型25%に分けられる。通常一側性に始まり、次いで両側性となる。
脊髄前角症状として、筋萎縮、筋力低下、反射減弱、線維束収縮。筋萎縮・筋力低下は上肢では一側の手から始まり上行する。やがて対側もにも及ぶ。母指球、小指球、骨間筋が侵されやすい。猿手、鷲手を呈する。非典型例では肩甲部~上肢近位から始まる例もある。下肢の場合も前脛骨筋や腓骨筋などの伸筋群が侵されやすい。下垂足。一側下肢遠位から発症し近位に及びやがて対側にも進行する。(多発神経炎に類似。偽多発神経炎型という。)初発部位がどこであれ、最終的には眼筋と外肛門括約筋以外の全筋に及ぶ。
錐体路症候として、病的反射陽性、腱反射亢進がある。上肢の病的腱反射(Hoffman反射、トレマー反射)は高頻度に陽性。下肢の病的反射(Babinski、Chaddock反射)は頻度が少ない。皮質球路の障害による下顎反射の亢進、口尖らし反射の亢進がみられる。腱反射亢進、痙性麻痺は上肢よりも下肢に多く見られる。足クローヌス、膝クローヌス。末期には偽性球麻痺強制笑い、強制泣きなどもみられる。
球症状として舌の萎縮、線維束性収縮、構音障害、嚥下障害(延髄の舌下神経核、偽核、副神経核の変性による)
本症では、他覚的感覚障害は認めないが、初期には鈍痛、しびれ感、倦怠感などの自覚的知覚障害がしばしば生じる。
進行すると皮膚をつまんで戻るのに時間が掛かるようになる。(皮膚のつまみ現象)
陰性徴候:末期まで出現しない症状として
1.他覚的感覚障害がない
2.眼筋麻痺が無い
3.膀胱直腸障害がない
4.褥瘡が起こらない
5.錐体路症状がない
6.小脳症状が無い
(家族性筋萎縮性側索硬化症)
常染色体優性遺伝。
(グアム型)
紀伊半島、グアム島、ミクロネシア島にALS多発地帯がある。ALSの所見に加えてパーキンソン病認知症複合の合併例が多い。家族性発生も頻度が高い。
(土) 本日のコラム445 代謝性脊髄症
内分泌全身疾患に合併して起こる脊髄疾患として主なものと以下の通り
・亜急性連合性脊髄変性症(ビタミンB12欠乏による)
・銅欠乏性脊髄症:亜急性連合性脊髄症と同じような症状が出る
・肝性脊髄症:対象英の痙性対麻痺。肝不全など。
・栄養障害による脊髄症:栄養失調で起こる
<亜急性連合性脊髄変性症>
四肢遠位のぴりぴり感からから始まりやがて手にも及ぶ。深部感覚障害(振動、位置、ロンバーグ徴候)、運動障害(下肢の突っ張り、痙縮、Babinski徴候)。→失調性もしくは失調性+痙性の歩行障害。膀胱直腸障害。認知障害、球後視神経炎、視神経萎縮症。大球性貧血。MRIでT2強調像で障害脊髄に後索に強い楔状束(ハの字型)あり。治療は、ビタミンB12を1mg筋注。1週間。その後、週一回一ヶ月、続いて毎月一回を生涯続ける。
(日)
(月)
本日のコラム446 脊髄血管障害
脊髄血管障害には、出血性(髄内、くも膜下、硬膜下、硬膜外血腫)、血液循環不全(静脈うっ血、静脈血栓、盗血現象)、圧迫性(拡張した血管による圧排)があり、原因疾患としては脊髄動静脈奇形が代表的。
・脊髄動静脈奇形には以下の疾患がある
・髄内動静脈奇形
先天性、前・後脊髄動脈がnidusを介して脊髄動脈に導出。若年発症、約半数で出血。初発症例の年間出血率は4%、再出血は10%。出血時は激烈な頚部痛、背部痛。髄内出血では高度な脊髄横断症状。
・脊髄辺縁部動静脈瘻
・脊髄硬膜動静脈瘻
・傍脊椎動静脈瘻・奇形、硬膜外動静脈瘻・奇形
・その他(遺伝性出血性末梢血管拡張症;Osler病)
・脊髄梗塞
・脊髄硬膜外血腫
(火)
本日のコラム447 特発性脊髄ヘルニア
胸椎中位に多い。自然整復の報告もあるが、硬膜欠損孔に嵌頓した脊髄の整復は手術を行う。愛護的に嵌頓を整復し、再嵌頓を防止するために、硬膜欠損孔を、拡大、縫合、人工硬膜などでパッチによる閉鎖などを行う。術後、筋力の回復は良好であるが、感覚障害や痙性は改善が劣るとされている。感覚障害は残存しやすい。
(水) 本日のコラム448 脊髄空洞症
脊髄空洞症は種々の原因により脊髄に空洞を形成する慢性進行性の疾患。空洞症に対する手術は改善よりも悪化させないことが目的となる。小児の空洞症は自然消失することもあるので、余裕を持って経過を見ることが出来るように大後頭孔拡大術を行うことが多い。軽微な症状を捉えて早期診断が重要。
脊髄空洞症の基礎疾患として、Chiari奇形(I、II型)が50%、脊髄損傷、脊髄腫瘍に伴うものがそれぞれ10%脊髄くも膜炎が6%とされる。男女比はほぼ同数、平均発症年齢28歳。Chiari奇形では女性が多く、小児期発症と30-40歳代で発症する例と二分化している。小児は側湾症で発症することが多く、初診時の神経症候は軽微。成人例では、上肢のしびれ、痛み、運動麻痺などがみられる。
・Chiari I型奇形に伴う脊髄空洞症
初発症状は上肢のしびれ、痛み、重苦しさなどの不快感。筋力低下。筋萎縮は筋力低下後数年を経て起こることが多い。症状停止・改善例もあるが、Chiari I型奇形などの基礎疾患が取り除かれないかぎり、緩徐に進行する。
神経徴候として
脳神経症状:顔面感覚障害、胸鎖乳突筋萎縮、眼振、瞳孔不同、舌の線維束収縮、嚥下困難、嗄声。大後頭孔の異常では、下向眼振が特徴、めまいより動揺視。
感覚障害:古典的には両側の宙づり型感覚障害が特徴とされてきたが、実初期には一側性のことが多く、経過中に対側の髄節障害や索性障害がでてくる。触覚を除いた表在感覚障害(感覚解離)、咳や怒責、いきみで自発痛が誘発される。(空洞症に特徴的)
痛みの頻度は高く、空洞症が縮小しても痛みが持続し、長期にわたることがある。
運動症候:上肢の遠位筋優位の脱力・筋萎縮が特徴。上肢は運動障害側優位に筋緊張が低下、下肢に運動症候があれば側索障害のための痙性をていする。
その他の症候:Charcot関節、自律神経障害(Horner徴候、発汗障害、起立性低血圧)
・脊椎側彎症:脊椎空洞症の20-85%に側湾が合併。小児では9割超。大人は15%程度。逆に側湾症の空洞症合併は4%程度。腹壁反射の消失が側湾の凸側、非定型カーブが45%。
・二分脊椎:空洞症の合併は3-45%。脊髄髄膜瘤(Chiari II型奇形)での頻度は3割程度。水頭症が高率に合併。
・脊髄外傷後脊椎空洞症
比較的まれと考えられていたが、MRIの普及により比較的多く見られることが分かっている。発症率は12-22%に合併。交通事故、転落事故、落馬、ダイビングなどによる脊髄損傷患者が受傷後6週から数年を経て、進行性の感覚解離、感覚脱失レベルの上昇、上下肢・体幹の痛みやしびれが徐々に進行する。空洞は外傷後3-33年で形成される。外傷部より頭側は空洞は左右どちらかに偏在することが多く、上肢の症状にも左右差を認めることが多いとされる。
・脳底部および脊髄くも膜炎に伴う脊髄空洞症
出生時の外傷・出血・細菌感染などで起こるとされている。全例に感覚障害、8割に運動障害、7割に筋萎縮、5割に痛み、3割に脊椎変形がみられる。治療は、大後頭孔減圧術+脊髄短絡術。
・後天性ChiariⅠ型奇形(小脳扁桃下垂)に伴う脊髄空洞症
腰部くも膜下腔腹腔シャント(L-p shunt)術後70%に小脳扁桃下垂が認められ、そのうち4%で脊髄空洞症に対する治療が必要であったとの報告がある。L-Pshunt除去により、また頭蓋内病変では腫瘍摘出、穿頭術で原因疾患を治療後にChiari奇形が消失し、園に伴い空洞も消失するとされている。
・延髄空洞症
後頭蓋窩の発達異常により延髄に空洞形成するものと、脊髄空洞症が延髄方向に進展したものに分けられる。Chiari奇形は大後頭孔で上方伸展が障害されるので、外傷後脊髄空洞症に多く見られる。。症状は頭痛、回転性めまい、構音障害、三叉神経痛、嚥下障害、複視。そのほか、舌萎縮、顔面の温痛覚障害、軟口蓋麻痺・声帯麻痺に伴う構音障害・嚥下障害、眼振など。延髄空洞症は呼吸障害や嚥下障害を合併しらすく突然死の原因になるいるが、後頭下減圧術で症状の改善をみることが多いとされる。
代表的漢方薬とその使用方法、状況により使用量、使用日数は異なります。
原則として、症状が短期で治まる以外の慢性期のものは、まず4週間程度服用してみて効果を判定する。
投薬される場合は、必ず専門書や漢方医の指導を参考に。見よう見まねは危険です。
| 整形外科分野の漢方治療 | ||
| 整形外科分野の痛み止め (Nsaidsと併用可) |
28:越婢加朮湯 7.5g 7-28日 麻黄(エフェドリン)+ (ドーピング検査に引っかかる→実証で元気な人向け) 18:桂枝加朮附湯7.5g 28日 麻黄なし 97:大防風湯7.5g 28日 麻黄なし 体力気力増進 (麻黄がないものは効くのに時間が掛かる) |
麻黄はエフェドリン効果で心臓がドキドキしたり血圧の上昇をみることがある。越婢加朮湯1日量7.5gのうち麻黄は6g含まれているので、胃腸が丈夫な人が対象。 18:桂枝加朮附湯は麻黄なし。越婢加朮湯が飲めなかった人や明らかに弱々しい人向け 97:大防風湯 麻黄なし。体力気力を増す。(人参・黄耆入っている)弱々しく長く関節痛を患っている人向け。 |
| 打撲・捻挫 | 25:桂枝茯苓丸7.5g2週間 105:通導散7.5g2週間 89:治打撲一方7.5g2週間 |
25,105,89 いずれか 105:通導散:大黄3g、芒硝1.8g 下痢起こしやすい→便秘にも効く 89:大黄1g |
| 頸椎捻挫・頚椎症 | 18:桂枝加朮附湯7.5g4週間 | 無効~もっと良くなりたい→18+25桂枝茯苓丸7.5g4週間 18+1葛根湯(麻黄)→麻黄でむかつき→中止 しつこい痛み:葛根加朮附湯+25桂枝茯苓丸 |
| 肩こり | 1:葛根湯7.5g 18:桂枝加朮附湯7.5g 23:当帰芍薬散7.5g 24:加味逍遥散7.5g いずれか |
|
| 五十肩 | 88:二朮湯7.5g | |
| 急性腰痛症 | 急性期 53+68 疎経活血湯7.5g+芍薬甘草湯7.5g 7日まで 以降、慢性痛 53:疎経活血湯7.5g 4週間 |
芍薬甘草湯は、頓服でも良い。低カリウム、血圧上昇、浮腫などの偽アルドステロン症に注意。長期連用は控える。 |
| 坐骨神経痛 | 107:牛車腎気丸7.5g 4週間 38:当帰四逆加呉茱萸生姜湯7.5g 53:疎経活血湯7.5g |
いずれから始めても良い。一ヶ月毎、使ってみてどれが効果があるかをみる方法もある。 牛車腎気丸4週間投与で効果が無ければ附子末(3023)増量。1日1.5gで開始→4週ごとに増量。(3.0g、4.5g、6.0g) 上限は6gまで、それ以上は効き目に変わりなし。副作用に注意して増量していく。高齢者より若者の方が副作用が出やすい。使いこなせない場合は、無理に増量しない。 *薬局方:附子の用法・使用量は1日0.5-1.5gとある。 38:当帰四逆加呉茱萸生姜湯 冷え、間欠性跛行 53:疎経活血湯 膝痛 |
| 間欠性跛行 血管性、脊髄性 いずれも |
38:当帰四逆加呉茱萸生姜湯7.5g 4週間 | 38無効なら 53:疎経活血湯7.5g 107:牛車腎気丸7.5g いずれも4週間 |
| 慢性腰痛 | 53:疎経活血湯7.5g | 53無効なら 38:当帰四逆加呉茱萸生姜湯7.5g 107:牛車腎気丸7.5g 4週間 |
| 変形性膝関節症 | 20:防巳黄耆湯7.5g4週間 18:桂枝加朮附湯を使うこと可 |
防巳黄耆湯無効→併用 28越婢加朮湯(麻黄)2分の1包朝夕で追加→2包5.0g朝夕~3包7.5g分3 (麻黄によりムカムカしやすい。胃腸の弱い人や高血圧に注意) |
| アキレス腱炎 | NSAIDs+28越婢加朮湯7.5g7日間 | 越婢加朮湯(エフェドリン含有) |
| 関節リウマチ | 97:大防風湯10.5g | RAの場合、抗リウマチ薬は必要。普通の関節痛にも使える。 |
| 神経障害 | 107:牛車腎気丸7.5g4-8週 | 無効→2033附子末追加1日1g4週間毎に増量6gまで。副作用で減量1g減らす |
| こむら返り | 68:芍薬甘草湯 頓服2.5g | 落ち着けば107:牛車腎気丸7.5g |
| 冷え症 | 38:当帰四逆加呉茱萸生姜湯7.5g | 下肢の冷え症:23:当帰芍薬散7.5g |
| 下肢のむくみ | 114:ツムラ柴苓湯9.0g | |
| 帯状疱疹 | 127:麻黄附子細辛湯7.5g | 除痛効果のある麻黄と附子が含まれる |
| 不定愁訴的痛み | 24:加味逍遥散7.5g | 気長に半年、一年と投与すると効果が出てきて訴えが変わってくる。 |
*3023附子末:副作用:下痢、嘔気、ドキドキ、舌のしびれ、発汗、放屁→何かあったら止めてくださいと説明する。副作用時減量1g。
*漢方薬は、保険での上限は一日15gまでと言われている。
*メチコバールと併用、代用に107:牛車腎気丸
*ミオナール:芍薬甘草湯(寝違い、こむら返り)
<除痛効果>
漢方の成分で鎮痛効果があるのは、麻黄と、附子が代表格。
*麻黄
麻黄の主成分はエフェドリン。越婢加朮湯1日量には麻黄が6g含まれる。頚部痛や肩こりなどにも用いられる葛根湯にも麻黄が含まれます。(葛根湯は風邪薬で有名ですが、整形外科でも痛み止め効果を期待して使うことがよくあります。)
*附子
1日1.5gで開始→4週ごとに増量。(3.0g、4.5g、6.0g) 上限は6gまで、それ以上は効き目に変わりなし。副作用に注意して増量していく。高齢者より若者の方が副作用が出やすい。使いこなせない場合は、無理に増量しない。
*薬局方:附子の用法・使用量は1日0.5-1.5gとある。
トリカブトを熱処理して減毒したもの。
107:牛車腎気丸
97:大防風湯7.5g
127:麻黄附子細辛湯7.5g
18:桂枝加朮附湯7.5g
30:真武湯
7:八味地黄丸 どれも除痛効果があります。
冷えると痛み・しびれが悪化するケースや風呂や暖かい日は症状が緩和するケースでは、附子が有効。附子は体を温める効果がある。
*防巳も痛み止めの効果がある。膝痛に使う20:防巳黄耆湯に満足できない場合は、28:越婢加朮湯を併用。28:越婢加朮湯(麻黄)2分の1包朝夕で追加→徐々に増やす。 血圧上昇に注意 2包5.0g朝夕~3包7.5g分3
(新見正則先生の複数の漢方書を参考にまとめました。)