池田医院
信頼とまごころの医療 からだにやさしい医療をめざして
整形外科 外科 リハビリテーション

診療日記 2026年6月水無月

1日

六月の外来

六月に入りました。近畿地方の梅雨入りはこの時期に重なることが多く、外来でも「天気が悪くなってから体が重い」「古傷が疼く」という訴えが増えてきます。

気圧の変化が関節や筋肉の痛みに影響するしくみはまだ十分に解明されていませんが、体の感度が上がる季節であることは外来でも実感します。体の声に少し耳を傾けやすい月です。

2日

湿気と関節

梅雨どきは気温よりも湿度の上昇が先行します。湿気が高くなると体の表面からの熱放散がうまくいかなくなり、体内に熱がこもりやすくなります。これが関節周囲の血流変化に影響するという説があります。

痛みの感じ方には個人差があり、「雨が降ると膝が痛む」という経験は多くの方が持っています。科学的な決着はついていませんが、一つ確かなことがあります。膝関節は皮膚のすぐ下に位置するため、外気温の影響を受けやすい関節です。特に冷えると痛みが出やすくなるため、梅雨のひんやりした日や冷房の効いた室内では、膝を冷やさない工夫をしてください。

3日

雨の日の腰痛

梅雨の時期は外出が減り、家の中で過ごす時間が長くなります。動かない時間が増えると、腰周辺の筋肉が硬くなりやすく、慢性腰痛の方には特に辛い季節です。

雨の日でも、室内でのちょっとした動きが腰の状態を保ちます。椅子から立ち上がる、廊下を数往復歩く、それだけでも違います。腰痛には「安静にすれば治る」というイメージがありますが、現在は動ける範囲で日常生活を続けるほうがよいとされています。完全に動きを止めてしまうより、できることを普通にこなすことが回復への近道です。

4日

室内でできる下肢の運動

雨で外に出られない日が続く梅雨の時期、下肢の筋力が落ちやすくなります。特に高齢の方は、数日動かないだけで筋力低下が顕著に出ることがあります。

椅子に座ったまま膝をゆっくり伸ばして数秒保持する「大腿四頭筋運動」は、膝を支える筋肉を鍛える基本的なリハビリです。テレビを見ながらでもできます。10回を1セットとして3セット、朝晩2回行うのが目安です。最初はきつく感じる場合は回数を減らし、慣れてきたら少しずつ増やしていきましょう。

5日

スーパーエルニーニョと今年の夏

今年の夏は「スーパーエルニーニョ」という言葉をよく目にします。米国海洋大気局(NOAA)の予測では2026年夏のエルニーニョ発生確率は90%に達しており、前回のスーパーエルニーニョ(2015〜16年)以来10年ぶりの強力な現象になるとの見方があります。エルニーニョが発生すると日本は「冷夏」になりやすいとされてきましたが、地球全体の海面水温上昇が続く今は、エルニーニョ年でも記録的な高温となることが相次いでいます。気象庁も今年から最高気温40℃以上の日を新たに「酷暑日」と定め、今夏もその出現が平年並み以上になる見込みと発表しています。

整形外科の立場からは、熱中症は単なる暑さの問題でなく、その後の体力・筋力・関節機能の低下につながる点が気になります。特に膝や腰に問題のある方、歩行補助具を使う方は、屋外での水分補給が遅れやすいリスクがあります。梅雨が明ける前から、冷房の使い方・水分補給の習慣・行動時間帯の工夫を意識しておいてください。100年に1度とも言われる夏、備えは早めに越したことはありません。

6日

「こんなことで来てよかったんでしょうか」

診察室でよく患者さんから言われることがあります。「こんなことで来てよかったんでしょうか?」

病気が進行してゴテゴテになることを思えば、むしろ早めに来ていただくほうが、患者さんにとってもプラスになります。一方で「少し前から気になっていたけど、大げさかなと思って様子を見ているうちに悪化した」ということもよくあります。どちらが良いかは一目瞭然です。

整形外科に限らず、「あれ、おかしいな」と思ったときが来どきです。受診のハードルは低いほうがいい。「なんでもなかった」という結果も、それはそれで大事な情報です。悩む前に受診することが大切です。

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